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【読書会】彩ふ読書会12月参加レポート

こんにちは!
先日12/22に行われた、のののさん主催の彩ふ読書会に参加したので、そのときのレポートを書きたいと思います。

主催の方の公式のレポートは↓になりますので、もしよければ合わせてお読みください。

【東京】12/22東京会場ほぼ一周年半イベントレポート | 彩ふ読書会




彩ふ読書会東京地区

彩ふ読書会は、のののさん(通称のーさん)という方が主催している読書会です。のーさん自身は大阪の方で、もともとは大阪を中心に読書会を行っていたそうなのですが、それをもっと広げようということで東京・名古屋・京都などでも読書会を展開しています。本当に主催者の方の行動力には脱帽する限りです。最近では神戸会場も新設し、その範囲はますます拡大を続けています。

この読書会のコンセプトとして主催者が掲げているテーマは「居場所作り」。私自身がこのコンセプトに強く共感したこともあり、昨年6月よりサポーターとしてお手伝いさせて頂いております。

今回は彩ふ読書会の「東京会場ほぼ1周年半特別イベント」です!僕自身も、初めての彩ふ読書会に参加してから今回でちょうど1年半ということもあり、なかなか感慨深いものがありました。

午前中はテーマ付きの推し本披露会、午後はオードブルのランチをみんなで食べながらの歓談+お楽しみ企画。午前中の推し本のテーマは「好きだけど、人にはおススメできない本」。僕はこのテーマが決まった時から、どんな本が紹介されるんだろうかと楽しみにしていました!

今回の参加者は25人。普段だと初参加の方と2回目以降の方の割合は半々から1:2くらいの印象ですが、今回は特別イベントということもあってか2回目以降の方が多かったのが印象的です。

また、実は今回、京都のサポーターの方が東京まで遊びに来てくれました!前日に東京で用事があったらしく、日程的にちょうどよかったのでわざわざ東京の彩ふに参加してくれたとのこと。以前大阪に行った時にも感じましたが、関西の方はとにかく話が面白い!

その方のブログもよく拝見させていただいるのですが、ブログのイメージと違わず、盛り上げるところは盛り上げつつ、それでいて真面目さと誠実さも持った方で、とても楽しくお話しさせていただきました。「彩ふに来てなかったら絶対に接点を持たなかったであろう人」は読書会で会う人全員に言えることなのかも知れませんが、住んでいる地域が違う方とお話しすると特にそれを強く感じます。こういう機会に感謝しつつ、これからも地域を越えた交流を大切にしていきたいですね。

会場「Studio 777」

いつもは貸し会議室でやることの多い東京彩ふ読書会ですが、今回は特別イベントということでお洒落なカフェ風のスペースでの実施となりました。いつもの箱型のスペースに慣れていたので、なんとなく不思議な感じです。会場の写真はこちら↓(写真提供は某東京サポーターの方です。素晴らしい写真をありがとうございます!)

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ちょっと面白かったのが、僕も含めたサポーター陣が会場のおしゃれさにちょっとヒヨっていたことです(笑)。いつもの会議室だと、到着するなり誰が指示するでもなくみんなが自発的に設営を始めるのですが、今回は皆んなオロオロしてしまって、なかなか設営が始まりませんでした(笑)。まあ、それでも一度動き出せば、サクサクと設営が進んでいくのはさすがのチームワークだなぁと感じます。

そして、あとで知ったのですが、この会場は「Studio 777」と書いて「スタジオななな」と読むらしいです。どことなく、誰かさんを彷彿とさせる会場名ですね(笑)。ある意味「彩ふ」にはうってつけの場所だったのかもしれません。

午前の部「推し本披露会」- 好きだけど、人にはおススメできない本

冒頭に書いた通り、今回の推し本披露会は特別編ということで、テーマ付きの紹介型読書会でした。「好きだけど、人にはおススメできない本」ということで、それはもはや「推し本」という呼び方は正しく無いのではないか?というツッコミが頭に浮かびつつも、それはグッと堪えます(笑)。

読書会について色々な考え方はありますが、僕としては参加者の「偏愛」が垣間見えるのが読書会の一番楽しいところだと思っていて、だからこそ今回のテーマで皆さんがどんな本を持ってくるのかを楽しみにしてました。紹介型読書会をプレゼンの技法のように捉える考え方があることは理解していますし、それはそれで間違っているとは全く思いませんが、僕個人としてはその魅せ方以上に本人の熱量を感じる紹介を聞くのが好きです。多少荒っぽくてまとまりのない紹介であっても、その人がその本を本当に好きなのだということが伝わってくると「読んでみようかな」という気持ちになります。

言ってみれば「好きな話になると早口になるオタク」の話が聞きたい、ということです。まあ、そう思うのは僕自身がそういう気のあるタイプだからなのかも知れませんけどね(笑)。他人の顔色を伺いながら、それが受け入れられるかどうかを気にするのではなく、ただ自分の好きな物を語る、それが僕なりの理想の形です。

確かにプレゼンのような「劇場型」の一方向的なコミュニケーションだとそれは許されないのかも知れません。しかし、読書会のように、実際に面と向かった双方向のコミュニケーションができる場であれば、たとえはじめの説明で理解できなくても、対話を通して相互の理解は進められるのではないかと思います。対話を通じて自分ですら気づいていなかったことに気づく機会もあるでしょう。むしろ、それこそが実際に顔を付き合わせた「読書会」という空間の可能性なのではないか、そんなことを思いました。

もちろん、これは読書会をプレゼンの練習として捉えることや、ビブリオバトルのような競技を否定・批判するものではないことは重ねて強調しておきます。プレゼン力自体は生きる上で重要なスキルであることは間違いないと思いますし、ゲーム的な要素を盛り込んだ空間でそれを高め合うことには十分意義があることでしょう。これは単純に僕個人の好みの問題です。

言うなれば「マツコの知らない世界」を見て、自分の知らない世界に対して「偏愛」を持つ人たちを知る面白さに近いのかも知れません。僕が彩ふ読書会で一番好きなエピソードは、関西で、ヅカ部(彩ふで宝塚歌劇団を愛する人たちの集まり)部長の溢れる宝塚愛によって読書会が宝塚にジャックされた、という話です(笑)。こういうのが許されるのがこの読書会の面白いところだと思っていて、今回のテーマはそれを凝縮したものと言えるでしょう。

ヅカ部によるジャックの詳細は↓の記事の後半部分と、そこから飛べるリンクをご参照ください(笑)

iro-doku.com



さて、異常に前置きが長くなりましたが、今回の読書会の内容に入っていきましょう。今回の推し本披露会は4グループに分けて行われました。僕が参加したのはAグループです。ちなみに、冒頭で紹介した京都のサポーターさんとも同じグループでした。

紹介された本たちはこちら (参加者直筆の紹介文は公式レポートで公開しています。ぜひそちらもご覧ください)

Aグループ f:id:KinjiKamizaki:20191225221956j:plain
Bグループ f:id:KinjiKamizaki:20191225222014j:plain
Cグループ f:id:KinjiKamizaki:20191225224140j:plain
Dグループ f:id:KinjiKamizaki:20191225224212j:plain
今回、僕が紹介した推し本は落合陽一さんの『デジタルネイチャー ~ 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』。落合陽一さんはテレビなどにも良く出演されている方なのでご存知の方も多いと思います。

30そこそこにして、国際学会でも存在感を放つ筑波大の研究者(准教授)であり、数十人規模の学生を抱える研究室の経営者であり、筑波大の学長補佐を務める教育者であり、ベンチャーのCEOを務める起業家であり、自ら個展を開くアーティスト・写真家でもあるという超マルチな方です。それに加えて沢山の本を書き、テレビにも多数出演しているという多彩さで、自分と同世代なだけに、この方の本を読むと自分はまだまだだなぁと痛感させられます。この歳になると「悔しい」と感じる機会は本当に少ないだけに、僕にとってはその悔しさを感じさせてくれる非常に貴重な存在です。

そんな落合さんが自分の書きたいビジョンを書きたいように書いたと言うのが、この「デジタルネイチャー」という本です。「人にオススメできない」理由としては、とにかく専門用語が多くて難解なためです。テクノロジーについての知識がないとそもそもなんの話をしているのかがよくわからないし、扱っている分野もテクノロジーに限らず社会学、経済学、哲学、宗教、生命科学、文学、そしてアートなどなど、非常に幅広い(一冊の本に注釈が200を超えるという(笑))。そもそも「生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂」というサブタイトル自体がパッと読んだだけだとよくわかりません(笑)

大まかな内容としては、以下のようなものです。

テクノロジーの発達(VRをはじめとするメディア技術やAI、ブロックチェーン技術など)によってデジタルと自然の境界が曖昧になり、もはやコンピューターを経由して伝わる情報は自然の情報と区別がつかなくなる。このデジタルとネイチャーが混じり合う環境は、コンピューターの力を借りることで人間に個別最適化をもたらし、それをさらに集積して社会の全体最適化を実現することで、主にテクノロジー上の制約によって人間に画一化・標準化を強いてきた近代を、突破するできる…

上の文をパッと理解できる人ならばこの本を楽しめると思います(笑)。基本的にテクノロジーオタク向けの本だと言っていいでしょう。すでに書いた通り、それでいて話題はテクノロジーに限られず、いま話題になっているテクノロジーが人間にとってどのような意味を持つのか?人間とコンピューターの関係はどのようなものなのか?という極めて哲学的な領域にも及び、その論述が捉えている射程範囲は想像以上に広いです。

僕は常々SFは哲学であると主張しているのですが、この本で論じていることはまさにその文脈にあると思います。読んでいて、さながらSFを読んでいるかのようなワクワク感を覚えました(これは僕だけかも知れませんが(笑))。もはやテクノロジーを抜きにしては人間や社会、世界とは何なのかを問うことが難しいからこそ、この方のような幅広い教養を持った思考が必要なのだろうなぁと思ってしまいます。まあ、精進していきましょう(笑)

そして参加者のみなさんの紹介本ですが、想像通り今回はいつも以上に濃い選書でした(笑)その選書自体も面白かったですが、それだけでなく、参加者それぞれが想像もしていなかったような「オススメできない理由」を話してくれて、本当に皆さんよく考えてきているなぁと思ってしまいました。

例えば、京都サポーターの方の紹介本である星野道夫さんの「長い旅の途中」のオススメできない理由は「同著者の「旅をする木」と内容が被っているので、そちらを読んだ方がいいと思うから」とのことでしたし、和菓子がテーマの小説「アンと青春」を紹介した方の理由は「ダイエット中に読むと和菓子を食べたくなってしまうから」などなど。エロい、グロい、ホラーあたりは想像していましたが、多彩な発想が出てきて想像を超える面白さでした!ちなみに、星野道夫さんの「旅をする木」は以前東京のサポーターの方が紹介していました。地域を超えた繋がりを感じるとともに、俄然、星野道夫さんへの興味が湧いてきました!

個人的に非常に面白いと思ったのは、何と言ってもバナナマンのラジオ10周年記念の本を紹介していた方です。バナナマンが好きなので、むしろバナナマン自体を紹介すると言って本やらDVDやらを紹介してくれました。紹介していただいた本は二冊セットでラジオの収録現場を収めた写真集とラジオに届いたリスナーからのお便り集。写真集は肌色要素がやたら高く、お便りは下ネタ満載という非常に濃いものでした(笑)

僕としては、まさに「こういう話が聞きたかった!」って感じですね(笑)。僕自身がお笑いに疎いこともあり(というかテレビ自体ほとんど見ない)、自分の知らない世界の話を聞く機会があるのは大変ありがたいです。

そして、全体発表にてあるハプニングが発生しました!

全体発表の先陣を切った主催者が、開口一番「彩ふ読書会の谷崎潤一郎ことのーさんです!」と一度も聞いたことのない二つ名を名乗り始めました(笑)てっきり僕の知らないところでネタになっていたことかと思ったら、別にそんなことはないらしく、突発的な思いつきをこういう場でぶち込んでくるセンスは流石です(笑)。そして、発表の最後には「タイツ最高!」と高らかに言い切る姿には、もはや清々しさすら感じてしまいました。

あとは個人的な好みですが、パオロ・バチガルピの「第六ポンプ」を持ってきていた方がいたことは驚きました。オリエンタルで陰鬱な雰囲気の作品の多いSF短編集で、僕個人としては結構好きな作品です。ただ、SF好きな人の中でもあまり聞くことのないのタイトルだったので、こういう場で見ることができたのはちょっと嬉しかったです。その後の懇親会準備でバタバタしていて、その方とはゆっくり話せなかったのは残念でしたが、こういう驚きがあるのも読書会の楽しいところだなぁと思います。

「東京会場ほぼ一周年記念パーティ」

今回は午後の部でいつも行なっている課題本読書会はなしで、オードブルのランチを取りながらの交流会を行いました!

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流れとしては、

開会の挨拶→食事をしながらの歓談→特別企画のゲーム→のーさんからの挨拶→各種告知→みんなで片付け

といった感じです。

特別企画のゲームは、名付けて「フレーズ☆トレジャーハンティーングゲーム」!!
全員に課題の本が配られて、お題となるフレーズ(言葉)をなるべく多く見つけるゲームです。はじめに簡単な練習問題をした後、本番として宮沢賢治の「注文の多い料理店」と梶井基次郎の「檸檬」のテキスト(出展は青空文庫)を使っての本番です。

以前行われたの読書会の空き時間や、読書会後のスイーツ会の時間に何度かテストプレイをしていることもあり、時間や分量等なかなかちょうどいい感じだったのではないかと思います。採点ミス疑惑はあったものの、あくまでも勝つことに主眼を置いたゲームというよりは、ゲーム自体を楽しむことが目的だったと思うので、まあそこはあまり気にしない方向で(笑)

そして、その後はのーさんからの長い挨拶。きっとそのうち公式ホームページで熱く語ってくれると思うのでここで多くは語りませんが、これまでの読書会を振り返りながら、参加者一人一人を大事にする気持ちが伝わってきたのが印象的です。

そして個人的な話になって恐縮ですが、関西の方々から僕宛にサプライズを準備していただきました!本当に全く予想していなかっただけに、驚きを隠せないとともに、地域を越えた絆を感じる一幕でした。ここまで東京の彩ふを続けて来れたのは、のーさんをはじめ、参加者の方々や同じくサポーターとして支えてくれている方々のおかげだと思うので、僕一人がいただくのはあまりに恐れ多いことですが、こうして祝福の言葉をいただき、これまでやってきた甲斐はあったかなと感じます。これに奢らず、これからも彩ふのコンセプトである「居場所づくり」の理念を大事にしながら、少しでもその一助になれるようできることをやっていきたいです!

そしてその後に彩ふ読書会からの重大発表!






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ということで、1月から横浜での読書会を実施することが決まりました!これまで大阪、京都、東京、名古屋の4拠点だったわけですが、1月からはこれに関西の神戸と関東の横浜が加えた6拠点体制で運営していくことになります。横浜の初回は1月19日(日)を予定しており、募集はすでに開始しています。

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午前の部はいつも通りの推し本披露会で、午後の部は三浦しをんさんの「風が強く吹いている」を課題本とした課題本読書会。「風が強く吹いている」は箱根駅伝をテーマにした小説らしく、神奈川と縁があり、かつお正月の箱根駅伝の後ということで、横浜の初回としてはうってつけの選書ではないかと思っています。

そして、もう一つ重大発表です。話題が多すぎてすでに情報過剰気味ですが、この日に利用させていただいた「Studio 777」さんの雰囲気が非常によく、普段の読書会でも使わせていただくことになりました!
貸し会議室を転々としていた東京の彩ふ読書会ですが、こうして雰囲気のいいスペースを見つけられたことは意義深いのではないかなぁと思います。まずはサポーター陣がそのおしゃれさにヒヨらないようにすることが必要ですね(笑)

そんなこんなで盛りだくさんだったほぼ1周年半記念イベントは盛況のうちに終えることになりました。最後にのーさんにサプライズを渡したのですが、これも詳細は主催者のレポートに託すことにしましょう(正直に言うと、長くなりすぎて疲れたので早く終わらせたい気持ちが…(笑))

まとめ

今回は12/22に行われた彩ふ読書会についてのレポートを書かせていただきました。色々と盛りだくさんの1日でしたが、サポーターだけでなく一般参加者の方も積極的に運営を手伝ってくださり、いい意味で手作り感の強いイベントになったのではないかと思います。

もちろん、サポーターがそれに甘えすぎてはいけませんが、運営/参加者が二極的に分かれるのではなく、運営と参加者がなめらかに入り乱れている感じが彩ふっぽくていいのではないかなぁと思っているので、これはこれで理想的な形ではないでしょうか。

次回の東京の読書会は1/26(日)です。午後の課題本は朝井リョウさんの「何者」。就活をテーマにした小説ということで、これもまた話し甲斐がありそうな課題本です。すでに募集は開始しているので、ご興味のある方は是非参加ください。

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それでは、また!