たった一つの冴えた生き様

The Only Neat Way to Live - Book reading, Fitness

コラム

【読書コラム】砂の女 - 意味の探求とその挫折 -

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は日本を代表する昭和の作家の一人・安倍公房さんの『砂の女』(新潮文庫)。有名な小説なので読んだことのある方も多いと思いますが、とある中年の学校教師がひょんなことから奇妙な砂の…

【読書コラム】世界征服は可能か? - 「他人のために生きる」という価値観の放棄

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はオタキングこと岡田斗司夫さんの新書『世界征服は可能か?』(ちくまプリマー新書)。岡田斗司夫さんのオタク的知識が存分に活かされている一冊で、日本のアニメや漫画の悪役によって繰…

【読書コラム】思考する機械 コンピュータ - 一神教的教義における人間の限界領域

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はコンピュータめぐるノンフィクション『思考する機械 コンピュータ』(草思社文庫)。2000年に刊行された本ということもあり、進歩のスピードの速いIT業界においてはもはや古典というべ…

【読書コラム】殺人出産 - 価値転倒の連鎖と死の効用

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は芥川賞作家・村田沙耶香さんの『殺人出産』(講談社文庫)。詳細は後ほど書いていきますが、人々のイメージを軽々と飛び越えた世界観を描き出し、現代を生きる我々の常識を激しく揺さぶ…

【読書コラム】科学的とはどういう意味か -フェアだからこその非科学思考

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は作家・森博嗣さんのエッセイ『科学的とはどういう意味か』(幻冬舎新書)。SFをはじめとして「科学」を題材とした小説作品で有名な森さんのエッセイということで、「科学的であること」…

【読書コラム】わたしを離さないで - 何気ない一言に込められた本質

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はノーベル賞作家のカズオ・イシグロさんの『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)。この小説についてのコラムは一年くらい前に書いているんですが(以下のリンク参照)、前回とはま…

【読書コラム】生きるということ - 「インスタ映え」という体験の疎外

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はドイツの心理学者エーリッヒ・フロムの『生きるということ』(紀伊國屋書店)。「自由からの逃走」などで有名なフロムの思想書で、約50年前に書かれた本ながら現代においても十分なほど…

【読書コラム】青の炎 - 無双するサイコパス

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は国内の作家・貴志祐介さんの小説『青の炎』(角川文庫)。最近の小説のコラムでは海外SFを扱うことが多かったので、久しぶりに国内かつ非SF作品のコラムとなります。 この小説は、突然…

【読書コラム】言ってはいけない残酷すぎる真実 - 幻想なき世界のドライバー

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は作家の橘玲さんの新書『言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)。数年前にベストセラーになった書籍らしいので、読んだことがある方も多いかも知れません。 この新書は、IQの遺…

【読書コラム】華氏451度 - 堕落は環境から

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はアメリカ作家レイ・ブラッドベリ氏の小説『華氏451度』(ハヤカワSF文庫)。焚書(書物の焼却)をテーマとしたSF作品ということもあり、読書好きにはたまらない小説の一つだと思います…

【読書コラム】人間アレルギー - 仲間という言葉の射程距離

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は精神科医の岡田尊司さんの『人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか』(新潮文庫)。 この本は、対人関係の諸問題を「人間アレルギー」という概念による統合するという提案と、…

【読書コラム】中学生からの哲学「超」入門 - 異なるコンテキストを持ち寄る場

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は竹田青嗣さんという方の新書『中学生からの哲学「超」入門』(ちくまプリマー新書)。この本の著書は、早稲田大学の教授の方で、哲学や文芸を専門とされているようです。 タイトルは中…

【読書コラム】すばらしい新世界 - 白馬の王子様のジレンマ

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はイギリス作家オルダス・ハックスリー氏の小説『すばらしい新世界』(講談社文庫)。1932年に世に出された小説ですが、未だに読み続けられているディストピアSFの金字塔的な存在と言って…

【読書コラム】わかりあえないことから - 「エモい」はなぜ市民権を得たか

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は平田オリザさんという方の新書『わかりあえないことから - コミュニケーション能力とは何か』(講談社現代新書)。この本の著書は、劇の演出家として活躍されている一方、東京藝術大学…

【読書コラム】世界の中心で愛を叫んだけもの - セカイの破壊という愛の形

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は米作家ハーラン・エリスン氏の小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』(ハヤカワSF文庫)。さまざまなメディアで良くオマージュに使われる印象的なタイトルなので、タイトルだけは聞いた…

【読書コラム】日本の分断 - 共感が促進する分断と同調圧力

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は吉川徹さんという方の新書『日本の分断 - 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』(光文社新書)。この本の著書は、計量社会学の教授の方で、社会意識や学歴についての研究をなさっ…

【読書コラム】ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを - 自身の中の不寛容

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は米作家カート・ヴォネガット・ジュニア氏の小説『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』(ハヤカワSF文庫)。SF文庫には分類されているもののSF要素は少なく、どちらかと言うと…

【読書コラム】反省させると犯罪者になります - 「嫉妬してはいけない」という無意味な言葉

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は岡本茂樹さんという方の著書『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)。著者は、刑務所で受刑者の方に対して更生支援をなさっている方のようです。そのエキセントリックなタイトル…

【読書コラム】失敗学のすすめ - 住宅ローンの功罪

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は東京大学名誉教授の畑村洋太郎さんという方の著書『失敗学のすすめ』(講談社文庫)。この本は、世の中で忌避されがちな「失敗」から学ぶことの大事さや、創造性における失敗の必要性に…

【読書コラム】万物理論 - 感情の神聖化への抵抗

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はSF作家グレッグ・イーガン氏の長編小説「万物理論」(創元SF文庫)。グレッグ・イーガン氏は現代最高のSF作家とも名高いオーストラリアの作家さんで、非常に高度な自然科学・テクノロジ…

【読書コラム】パリピ経済 - マスコミ的ヒエラルキー

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平さんという方の新書『パリピ経済』(新潮新書)。この本は、ここのところ良く耳にする「パリピ」の生態に迫りつつ、その特性と市場経済につ…

【読書コラム】結晶世界 - 可能性の魅力とモラトリアム

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はSF作家J・G・バラード氏の長編小説「結晶世界」(創元SF文庫)。J・G・バラード氏の小説としては以前「ハイ・ライズ」(創元SF文庫)でもコラムを書きましたが、なかなか癖のある表現と…

【読書コラム】教室内(スクール)カースト - 「モテるのが正義」という価値観

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は鈴木翔さんという方の新書『教室内(スクール)カースト』(光文社新書)。この本は、おそらく誰もが一度は耳にしたことのある「スクールカースト」について論じた新書です。この本を読…

【読書コラム】The Indifference Engine - 自己愛の役割

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は伊藤計劃さんの短編小説「The Indifference Engine」(早川書房)。このブログを読んでいる方であればご存知の通り、筆者の伊藤計劃さんは僕の大好きな作家さんなのですが、先日始めて…

【読書コラム】友だち幻想 - クオリアの檻と共感幻想

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は菅野仁さんという方の新書『友だち幻想 - 人と人の<つながり>を考える』(ちくまプリマー新書)。ややドライにも思えるタイトルですが、中身はいたって真面目で、深い優しさが込めら…

【読書コラム】下流志向 - ゆとり世代の処世術(後半)

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は思想家の内田樹さんの『下流志向 - 学ばない子どもたち働かない若者たち』(講談社文庫)。先日は前半部分を投稿しましたので、今回は後半です。後半では主に現代の生き抜き方について…

【読書コラム】下流志向 - ゆとり世代の処世術(前半)

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は思想家の内田樹さんの『下流志向- 学ばない子どもたち働かない若者たち』(講談社文庫)。著者の内田さんがどのような方なのかは正直言って存じ上げないのですが、この本を読んでなかな…

【読書コラム】ザ・サークル - SNSは何をしたのか?

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はアメリカ作家デイヴ・エガース氏の小説「ザ・サークル」(早川書房)。エマ・ワトソン主演で映画化したことからも有名な小説で、非常に明確な形で現代のSNSを風刺した小説となっていま…

【読書コラム】一億総ツッコミ時代- 僕が「読書コラム」を書く理由

こんにちは!今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は芸人のマキタスポーツさんによって書かれた『一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)。この本では、マキタスポーツさんがボケ・ツッコミという芸人らしい視点から現代日本に漂う閉塞感を考…

【読書コラム】零號琴 - 教養はなぜ必要か?

こんにちは! 今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本は飛浩隆さんの小説「零號琴」。この作品は2018年の10月に出たばかりのSF小説です。作者の長編としては16年ぶりの作品ということで、出版された当初はTwitterなどのSF界隈は非常に盛り上…