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【読書】2019年12月に読んだ本まとめ + 2019年振り返り

こんにちは!
今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定例にしたいところです。

今回は年初ということで、簡単に昨年全体の振り返りもしたいと思います。


読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。 f:id:KinjiKamizaki:20200102164137p:plain f:id:KinjiKamizaki:20200102164153p:plain f:id:KinjiKamizaki:20200102164209p:plain f:id:KinjiKamizaki:20200102164228p:plain f:id:KinjiKamizaki:20200102164241p:plain

総評

一ヶ月で読んだ本は44冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 4冊:国内2冊、海外(翻訳)2冊
- 自己啓発・ビジネス ・その他→ 40冊

12月の読書冊数は44冊。11月が47冊だったので、冊数としては先月に引き続き微減です。冊数が減っている原因は、主に以下のようなものです。まあ、いずれもネガティブな理由ではないので、冊数の減少自体は特に気にしていません。むしろ、冊数を追い求める欲求をクールダウンさせる意味ではちょうど良いのかもしれませんね。

①本を読む以外の行動を重視していたこと
②一冊一冊が比較的重い本であったこと
③読んだ本を目に見える形で残す作業を追加したこと

③については、今も色々と試行錯誤しているところで、読書記録をきちんと残すことと、それにかかる手間のバランスがなかなか難しいところです。あまり手間がかかると続かないし、きちんとデータとして残すようにしないと本自体を手元に置いておく必要が出てくるのでスペースが辛い(笑)

読書メーターやTwitterなどは使っているものの、断片的な感想しか残せないのと、フロー重視のSNSというプラットフォームはストックの積み重ねに向かない(検索性・一覧性が悪い)ことがネックです。実際、紙の本でも電子書籍でも気になったところはマークしたりしているのですが、そのようなマークやTwitter・読書メーターの感想を紐付けて置いておく場所が欲しいなぁと。

今のところは、クラウドメモアプリ(One note)やスマホカメラを使ったScannerを組み合わせながら色々と試行錯誤中です。家に無限の蔵書スペースがあれば良いのかもしれませんが、なかなかそうもいきませんからね(笑)。きちんと手放すべき本を手放すために、読んだ本の記録をつける習慣は必要だなぁと思う今日この頃です。

今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書をご紹介します。

小説部門

12月に最も印象に残ったのは、小松左京氏の「日本沈没」です!

1970年代に書かれた日本SFの古典的名著というべきSF小説です。その内容としては、タイトルの通り日本列島が沈没するまでを描いた作品で、沈没に伴って生じる様々な災害の間で織り成される人間関係や、自国を失うという危機的状況にあって少しでも多くの人を救うために奮闘する人々の姿が描かれます。

日常生活を過ごしていると忘れがちですが、この本を読んでいると、自分が災害大国に生きているのだなということを改めて強く実感させられます。地震や火山活動などによって交通網が遮断され、都会で困窮する人々の描写を目にした時、自分の便利な生活がいかに外部に依存しているかを突きつけられ、胸にぐさりと来るものを感じました。いつの時代も震災が世の中に置いて大きな意味を持つ日本という国において、それとどう向き合うのか?自分の生活を支えているものはなんなのか?というものを考えさせられてしまいます。

また、この小説では「国土」の存在もテーマになっています。イスラエルができるまで「国土」を持たなかったユダヤ人や、未だに「国土」を持たないクルド人もいますが、日本列島という明確な国土を持つ日本人からすると、今この瞬間に「国土」がなくなった時にどう感じるか?を想像するのは難しいですね。自分自身としては日本国土というものにそこまでの執着はないつもりですが、いざそれが失われた時に自分のアイデンティティにどのような影響を与えるのかを考えるのは無駄ではないと思います。土地というものが人間心理に与える影響というのは、なかなか考え甲斐のある深いテーマな気がします。

あとは日本沈没に際しての政治的な駆け引きや、思惑が交差する人間関係・外交関係も見どころの一つでした。これは今の世界が抱える難民問題とも関係しているようにも思います。心情的・人道的に考えると「国」を失った人々を受けいれてあげたいのはどの国も同じだと思うのですが、人が入ってくるということはそこに生活コストもかかりますし、雇用の問題も発生するでしょう。なんでもかんでも受け入れるという決断は慈悲に溢れることかも知れませんが、それは時として致命的な対立(虐殺や暴動、リンチなど)という無慈悲な結末を導きかねません。そういった利害関係を調整することが政治の仕事だと思うのですが、理想と現実の狭間で悩む人間の姿を見ていると政治が何たるかを思い知らされます。

いずれにしても、さすが国内SFの金字塔だなと思える読書体験でした。国内SFはそこまで読めていないのですが(伊藤計劃は除く(笑))、この作品を読んで、やはりたまには読んでいきたいなぁと思った次第です。勝手なイメージなんですが、国内SFはロマンスに収束してしまうものや技術アイデアの一点突破になっていると感じるもの多くて、そこまで深く刺ささらないイメージがありまして…

ビジネス書部門

今月のマイベストビジネス書はウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」です。ビジネス書ではないですが、まあ良いでしょう(笑)。内容としては記号論理・論理哲学の本で、論理の構造と言語・哲学で語れることの限界を提示しています。本の構造がかなり特異な形を取っており、一冊の本が一連の文章として構成されているわけではなく、「1.」「1.1」「1.11」といったような形で細かい文が階層構造的に連なって構成されています。何を言っているのかよくわからないかも知れませんが、これは非常に説明しにくいので、ご自身で確認してもらうしかありません(笑)

とにかく、読んでいてめちゃくちゃ面白いと同時に、この本を書いたウィトゲンシュタインは物凄く物事をよく考えた人なのだなぁと感じました。Twitterや読書メーターを見ても、これを面白いと書いている人は少なかったことからもわかるとおり、一般受けする哲学書ではないのかも知れませんが、僕自身としては読んでいてとにかく知的好奇心を刺激される本であったことは間違いありません(Twitterでは、「この本を面白いと感じる人がいるとは…」と言われました(笑))

これは僕の勝手な想像ですが、僕がこの本を楽しめた理由は僕の学生時代や仕事上の専門が理系分野であり、記号論理学についての知識が多少なりともあったからではないかな、という気がします。日本で哲学の道を進む方はおそらく文系一直線でやってきた方が多くて、そういう方だとこの本はすっとは入ってきにくく、むしろ理学部数学科みたいな人が楽しめるタイプの哲学書なのかも知れません(これも日本の理文の感覚や哲学への先入観が染み付いた方だと想像しにくいと思いますが、現代数学は極めて哲学的だと思います)。

いずれにしても、この本に書かれている内容を僕がわかりやすい言葉で説明するのは困難を極めます(笑)。この本が世界になした意義はもちろん色々あるとは思いますが、言語で語りうること、そして哲学で語りうることの限界を規定したことでしょう。要素命題と演算システムが規定された時点でその言語空間で語り得ることは決まってしまい、それ以上のことは語ることができない(逆に語り得ることは必然的に語り得るが故に何も言っていない[トートロジー])。論理とは要素命題の意味づけを前提にしており、論理によって要素命題を意味づけすることはできない。であるが故に、それまで議論されてきたような哲学的命題(善とは何か、美とは何かなど)を論理によって規定する試みはノンセンス(無意味)である。これは「語ることができないことについては、沈黙するしかない」という言葉に端的に現れています。

上記は僕の理解なのでどこまで厳密かはちょっと自信がありません。が、大雑把にいえばこういうことが言いたいのだと思います。これを面白いと思うかどうかは人それぞれだとは思いますが、僕はものすごく楽しめました(笑)。要するに「好きだけど、人にはお勧めできない本」ってことですね。

光文社古典新訳の沼

ここのところ哲学にハマっているのは今までの記事でも書いたとおりですが、11月は岩波の本を読むことが多かった一方、12月は光文社古典新訳をメインで読んでいました。光文社古典新訳の良いところは色々とありますが、まあ何よりもKindle Unlimitedで読めるものが多かったというのが非常に大きいです。

Kindle Unlimitedはもはやヘビーユーザーと言って良いくらいよく使っていますが、実はそのシステムはそんなにきちんとわかっていません(笑)。なので、今無料になっている本がいつまで無料で読めるのかがよくわからないので、光文社古典新訳の哲学書は読めるうちに読んでおこうという思考ですね。たた、正直にいうとKindle Unlimitedで読んだ哲学書は漏れなくその後に紙の本を買っているので、実は無料期間にこだわる必要はないのではないかという気がしないでもないです(笑)

個人的に岩波に比べて読みやすいな、と思うのは、訳の問題もありますが、それ以上に細かく段落組みをしてくれている点にあります。流石にこれらの本は一冊一時間とかでは読めませんが、一語一句舐めるように読んでいるわけではありません。そんな時に助かるのがこの段落組みです。個人的に斜め読みのポイントは段落の最初と最後の文をしっかり読んで間をさらっと流すことにあると思っているので(きちんとした本ならメインメッセージは段落の最初と最後にある)、細かく段組みしてくれているとそれが非常にやりやすい!というわけで、光文社は助かるなぁというわけです(笑)

2019年の振り返り

冒頭に書いたとおり、今回は少し2019年の振り返りをしたいと思います。とは言っても、僕は一年で読んだ冊数はどうでも良いと思っているので、去年一年間で自分の興味や読書傾向がどのように変遷していったのかを見てみたいと思います。ちなみに結構多くの人がやっている、2019年に読んで良かった本ランキングにも興味がないので、それをやる気もありません。

この各月に読んだ本まとめを継続的に読んでいる方ならすでにご承知のことと思いますが、この記事の構成は…

1. 総括
2. 一番印象に残った本 小説編・ビジネス書編
3. その月の読書活動まとめ

という形になっています。というわけで、今回は去年の1月から12月にかけての「3.その月の読書活動まとめ」部分のタイトルを並べてみてみましょう。それを眺めることで、だいたいどんなことに興味をもってどんな本を読んでいたかが多少は掴めるのではないか、というわけです。

1月:読書コラム熱がアツい
2月:学際的な学びの必要性
3月:螺旋の力(笑)
4月:宗教を求める心理
5月:新書のメリット
6月:現代日本を考える
7月:中国SFが熱い!
8月:電子書籍、はじめました
9月:進化心理学への興味
10月:哲学の入り口
11月:岩波文庫の増植がマッハ
12月:光文社古典新訳の沼

とりあえず10月以降は哲学漬けだったのは明らかですね(笑)。これは自分でも自覚はあったので、10月以降はもう放っておきましょう。最近はその流れで現代思想にも興味は流れていますが、これからも古典と現代を往復しながら色々と読んでいきたいと思います。

冒頭から見ていくと、1月のコラム熱と2月の学際的な学びについての話はなんとなくリンクしてそうな感じはしますね。僕がコラムを書く際に気をつけているのは、単に本の要約になったり、その本が「良い」「悪い」という二元的な論調にならないようにすることです。どちらかというと本で話題にしている内容をちょっと変わった切り口から考えてみたり、一般的な解釈のされ方とは違う目線で考えてみたりすることで新たな学び・気づきがあるのではないか、ということを意図しています(だからこそ、書評ではなく読書コラムというちょっと周りくどい表現をしています)。

そういう意味では、物事を見る切り口の引き出しとして色々な考え方や知識・価値観を知ることは不可欠であり、そういう理由で所謂「学際的な学び」が必要だなぁと感じたのだと思います。読書コラムもなんだかんだで12月までほぼ毎週近いペースで書いてこれたのは一つ自分にとって自信になったかなと思っています。非常にありがたいことに、このコラムを読んでコメントをいただける方もいたりして、とても大きなモチベーションになっています。ただ、12月は某所に投稿するための創作小説に挑戦したのでちょっと更新が滞ってしまいましたが…。

創作の方はまだ未完なので引き続き書くつもりですが、コラムは思考力・文章力の向上にかなり寄与しているという感覚があるので、あまりペースを落とさず継続していくつもりです。

さてその後ですが、ちょっとふざけた事を言っている3月は飛ばすとして(笑)、4月は宗教についての話ですね。宗教についてというよりは、宗教を必要とする人間の心理ってなんなんだろうか?という疑問です。確か、それに疑問を持った直接的なきっかけはミシェル・ウェルベックの「服従」についてのコラムを書いたことです。僕自身は自分のことは自分で決めるという個人主義・自由主義的な(流行り言葉で言えばアドラー心理学的な)考えが最良だと固く信じていましたが、ウェルベックのこの本について考えていく中で、それだけで世の中が幸福になるのだろうか?という疑問を抱いたのが宗教について興味をもったきっかけです。

この辺りは、最近読んだジョン・ロックの「市民政府論」やマルクス主義(所有の否定)を読んで感じた「個人」「自由」の概念の綻びにも繋がるのかも知れません。最近の僕のコラムを読んでいる方だとわかると思いますが、ここのところ「所有」や「自由」への疑問、そして宗教のオルタナティブとしての「ダーウィニズム」という切り口で物事を考える傾向が強いです。こう言った考え方は現代の行き詰まりを考える上でかなり重要なポイントだと強く感じてきているので、これからも自然科学、テクノロジー、生命科学、社会学、心理学、脳科学、経済学などの多様な視点から学び、考えていきたいと思っています。

さらに下って、5月あたりから新書を読み始めていて、6月の現代日本についての言及もその流れにあったのは覚えています。新書は質的には玉石混合感はありますが、やはりリアルタイム性が高いのが魅力で、現代日本の問題を考えるきっかけになりました。この辺りでの読書の一番の収穫は、現代日本でも自分には理解できてない・見えていない領域がこんなにも広いのかということに気づけたことです。現代日本は身近なテーマだということもあり、ニュースなどで分かった気になっていることが多かったですが、全然そんなことがなかったのだということに気づけたことは大きかったです。

7月は中国SFブーム。これはまあ「三体」の影響で国内SF界が中華系SFで沸いていたので、それに乗っかった形ですね。ちなみに、まだテッド・チャンの新作「息吹」にはまだ手をつけられていないので、出来るだけ早いうちに読みたいなぁとは思っています。

そして8月にKindle Unlimitedの導入。これによって読む冊数が増えた面は間違いありません。この頃はおもしろそうなタイトルはガンガン読んでいたんですが、最近ちょっと思っているのは正直言って内容が薄い本も多いなということです。特にビジネス書関係。もちろん意外に質がよくて学びになる本もあるのですが、タイトルだけで選ぶとBookoffでのタイトル買いに比べてもハズレ率が格段に高い。ということで、最近はKindle Unlimitedで読む本はかなり絞っています。まあ、それでも月額1000円とかでこれだけ読めるのは文句なくお得ですけどね。

9月は進化心理学。これは確かリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」の影響が大きかったですね。人間の行動や心理が自然淘汰的な進化論で説明できるのではないか?というなかなか刺激的な問いを提起するこの分野は、非常に興味深いと感じました。この学問分野に触れたことによって得られたことは、社会とか人間の欲望とか幸福というものをそれまで以上にメタ的な目線で見られるようになったということです。もちろん、これらの分野はあくまでも解釈論でしかなく、その検証は困難を極めることは念頭に置いておくべきですが、先に出したような「なぜ人は宗教を求めるのか?」という問いに対しても一定の仮説を立てる手助けになるのではないかとも思います。

そして、10月以降は哲学です。Kindle Unlimitedで山口周さんの「武器になる哲学」を読んだことがきっかけで一気にハマったわけですが、こうして去年一年を俯瞰してみてみると、ハマるべくしてハマった感はありますね。Kindle Unlimitedの導入も含めて(笑)。去年の読書を通して模索してきたのは、総じて「現代の行き詰まりをどうやって打破するべきなのか?」だと思います。それを考える上においてはやっぱり哲学・思想は避けて通れないので、哲学にたどり着くのはある意味必然だったのかも知れません(まあ、かなりこじ付けの部分もありますが)。

こうして去年一年の読書を振り返ってみると、経営関係のビジネス書ばかりを読んでいた時期に比べるとだいぶ読む本の傾向は変わってきたなぁというのを改めて強く感じます。それと同時に、自分の興味・自分が何をしたいのかがかなり見えてきた一年だったとも思います。僕にとっては去年一年間に読んだ冊数なんかよりも、そっちの方が遥かに重要なことです。自分が何に興味を持っていて、何をしたいのか、それを常々かんがえながら今年も学び続けていきたいと思います。

とりあえず目先のこととして気をつけるべきは、思考一辺倒にならないようにすることですね。哲学書を読んでいると、新しい価値観や考え方がどんどん入ってくるので学びが得られた気分になりますが、やはり大事なのはそれをどう行動に繋げていくかだと思います。「行動が伴わなければ意味がない」それを肝に銘じていくこと、それが2020年にまず考えるべきことですね。思想と現実、具体と抽象、現在と過去・未来、社会的善と偏愛、インプットとアウトプット、動と静、そういう様々な要素を縦横無尽に駆け回りながら、2020年を駆け抜けたい所存です。

まとめ

今回は12月に読んだ本のことと、去年の読書生活についてまとめてました。年単位での振り返りはいままでやってこなかったですが、書いているうちにかなり熱が入ってきて、結果的にかなり考えさせられてしまったので結構良い機会になったと思います(笑)

それでは、また!