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【読書会】彩ふ読書会10月参加レポート

こんにちは!
先日10/27に行われた、のののさん主催の彩ふ読書会に参加したので、そのときのレポートを書きたいと思います。

開催者の方の公式のレポートは下記リンクからご覧ください。

iro-doku.com


記事の中で、課題本の「痴人の愛」のネタバレを多少含むので未読の方はお気をつけください。


彩ふ読書会東京地区

彩ふ読書会は、のののさん(通称のーさん)という方が主催している読書会です。のーさん自身は大阪の方で、もともとは大阪を中心に読書会を行っていたそうなのですが、それをもっと広げようということで、東京・名古屋・京都などでも読書会を展開しています。本当に主催者の方の行動力には脱帽する限りです。

この読書会のコンセプトとして主催者が掲げているテーマは「居場所作り」で、私自身がこのコンセプトに強く共感したこともあり、昨年6月よりサポーターとしてお手伝いさせて頂いております。

今回の参加人数が午前午後ともに約25人。普段は男性女性はだいたい半々くらいなのですが、今回の午後の部は男性比率が高かったのが印象的でした。明確な理由は解りませんが、やはり課題本のセレクトかなーという気はしますね(笑)

午前の部「推し本披露会」

今回の推し本披露会は4グループに分けて行われました。僕が参加したのはCグループです。

紹介された本たちはこちら (参加者直筆の紹介文は公式レポートで公開しています。ぜひそちらもご覧ください)

Aグループ f:id:KinjiKamizaki:20191031231707j:plain
Bグループ f:id:KinjiKamizaki:20191031231725j:plain
Cグループ f:id:KinjiKamizaki:20191031231742j:plain
Dグループ f:id:KinjiKamizaki:20191031231758j:plain

今回、僕が紹介した推し本はブルーバックスの新書『発酵の科学』。最近、自家製の漬物をつけるのにはまっており、今回はそれに関する本として紹介させていただきました。

漬物を作ろうと思ったきっかけは、比較的しっかりした健康系の本を読んだ時に、発酵食品が体にいいと書いてあったことです。一人暮らしをしているとなかなか野菜を取ることが難しいので、野菜と発酵食品の両方がとれる漬物はなかなか良いのではないか、と思って始めたわけです。

そこで、インターネットで色々と調べてみたわけですが、これが本当に難しい。根拠不明の言説や、適切ではない情報・表現を含む無責任なサイトであふれていて、何が正しい情報なのかがさっぱりわかりません。それならばと思い、いくつか本を読んでいる中で見つけたのがこの本です。

この本は、発酵の「科学」と題してあるだけあって、詳細な発酵のメカニズムまで解説しています。しっかりと基礎に根付いた説明している一方、筆者の漬物・発酵食品に対する強い情熱が感じられ、非常に読み応えのある一冊です。ちなみにこの本の筆者は、東大の農学部で博士を取得した後、東大や東工大、明治大学などでの研究を続け、教授にまでなっているという、まさに発酵食品ガチ勢です(笑)。

食品は体に入れるものだけに、こういったしっかりした方が書いた本は心強いです。僕がこの本を信頼できると思ったのは、「発酵食品が腸内環境に良いという結論は出ていない」ということを明確に言及しているためです。人間は、どうしても断定的な物言いに惹かれてしまうものだと思いますが、あえて「結論ははっきりしない」ということを書くところに、筆者の誠実さを感じます。ネットで手軽に手に入る便利な情報と、本や論文で得られるしっかりとした知識はうまく使い分けていきたいですね。

今回もバリエーション豊かな本がたくさん紹介されていて、気になる本がたくさんありました。僕の参加したテーブルで特に気になったのが、鏡を使った絵本「きょうのおやつ」です。話の内容としてはパンケーキを作る流れを書いたシンプルなものですが、その発想がすごい!

言葉で説明するのが難しいのですが、鏡を巧みに使うことによって本で立体を表現するという画期的な本です。いつものことながら、世の中には本当に色々な本があるなぁと驚かされてしまいます。

あと、別テーブルで印象に残った本は、有名な海外小説ウラジミール・ナボコフの「ロリータ」。本自体が印象に残ったというよりは、インパクトがあったのはそのチョイスですね。今回の課題本が「痴人の愛」ということで、同じようなタイプの「年齢差のある恋愛もの」として選んだという、その発想が面白い(笑)。有名なタイトルながら、いまだに読んだことはないので、そのうち読んでみたいと思います。

午後の部「課題本読書会」

今回の課題本は先述の通り、谷崎潤一郎の著書「痴人の愛」です。東京の課題本としては平成の時代に出版された現代小説が多い印象があるので、案外今までになかったタイプです。

今回の読書会でちょっと意外だったのは「気持ちが悪い」という意見が思いのほか少なかったことです。僕は開口一番で、主人公の譲治が「気持ち悪かった」と宣言したわけですが(笑)、あまり同意が得られなかったことに少し驚きました。もちろん、時代の価値観が違うというのは理解した上での「気持ち悪い」だという補足はしたものの、やはり、感じ方は人それぞれ違うものですね。他人が、自分と同じ意見だと安易に考えてしまうのは良くないなぁと、改めて痛感しました。

それは置いておくとしても、この「痴人の愛」という小説は課題本としてはなかなか面白いチョイスだったと思います。2人の関係性のあり方や、あまり語られないナオミの内心、筆者である谷崎のコンプレックスや社会での受け止められ方など、様々な話題を楽しむことができました。

あと個人的に面白かったのが、ナオミが譲治の家の鍵を大量に作っている、というくだりでの意見の相違です。僕はこのシーンを読んだ時に「怖っ!」と思ってしまったのですが、それをむしろ肯定的に捉えている男性がいて驚きました。もちろん、どちらが良い悪いという話ではなく、あまりにも真逆な捉え方をしている人がいたりする、というのが読書会の醍醐味だなぁと(笑)。

今回はいつも以上に(いい意味での)意見の違いを感じることができた会でした。そこそこディープな内容であり、あまり普段人と話すことのない領域だからこそ、改めて人それぞれの感じ方の違いに気づけるのかもしれませんね。

今回もいつもと同様、課題本の「痴人の愛」についての読書コラムを彩ふ文芸部に投稿する予定です。コラムの切り口は何となく掴めてはいるので、近日中には書きあげられると思います。

2019/11/09 追記:彩ふ文芸部にコラムを投稿しました!10,000字超えの長編です(笑)

【読書コラム】痴人の愛 - 他者の所有という自己実現の形 執筆者:KJ | 彩ふ文芸部


今後の予定

彩ふ読書会は今後も月一のペースで開催していくわけですが、ここしばらくはイベントが続きます!

まず、11月の読書会(11/24)では午後の課題本読書会の代わりに、サークル活動として文学フリマに遊びに行く予定です!僕自身は行ったことがないのですが、文芸を中心としたフリーマーケット・即売会的なイベントのようです。日本各地で行われているらしく、過去には彩ふ読書会の関西の方々で、大阪の文学フリマに遊びに行ったこともあるらしいです。

bunfree.net



なんとなく名前は聞いたことがあるイベントで、雰囲気や出品されている創作物などについて興味があったので、個人的にもすごく楽しみにしています。実は、そのうち彩ふ文芸部でも何か出品できたら面白いなぁと妄想していたりします(笑)

そして、12月22日には彩ふ読書会・東京約1年半特別イベントが開催されます!午前中の読書会の後、ランチ交流をしつつ、本に関係のあるお楽しみ企画をする予定です!詳細は現時点でまだ決まっていませんが、決まり次第HPの方で発表があるかと思います。

ちなみに、この特別企画のために臨時サポーターを募集していますので、興味がある方はHPを確認してみてください!一度でも彩ふ読書会に参加したことがある方なら申し込み可能なので、「まだあんまり馴染めてないから…」とかは全然気にしなくて大丈夫です。僕自身も参加初回でサポーターに申し出ましたし(笑)、むしろ運営側に携わることで参加者の方々と仲良くなったところはあるので、むしろ仲良くなるきっかけとしてお気軽に参加いただければなと。

サポーター募集のお知らせ | 彩ふ読書会



さらに、1月 or 2月に東京近郊の方が参加できるイベントを開催する予定です。詳細は上記の約1年半特別イベントの時に発表される予定ですが、ぜひ「1/19」と「2/11」の予定を空けておいていただければなと思います!

まとめ

今回は10/27に行われた彩ふ読書会についてのレポートを書かせていただきました。いつものことながら、充実感のある休日が過ごせるのがいいですね。

次回の開催日は11月24日です。上記の通り、午後は読書会ではなく、文学フリマに遊びに行く予定です。どちらも参加申し込みはすでに開始しているので、興味のある方はぜひ!

詳しい内容は彩ふ読書会のサイトから↓

iro-doku.com

iro-doku.com

それでは、また!