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【読書】2019年9月に読んだ本まとめ

こんにちは!
今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定例にしたいところです。


読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は50冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 5冊:国内3冊、海外(翻訳)2冊
- 自己啓発・ビジネス ・その他→ 45冊

単月の冊数としては、初めて50冊を超えました。あまり冊数は気にしないようにしているものの、50冊という大台を超えると少し感じるものはありますね。とはいえ、小説が5冊しか読めていないので、もうちょっと読める時間を取りたいですね。まあ、これは毎回言っている気がしますが(汗)

先月から冊数が読書量が増えているのは、やはりKindle Unlimitedの影響が大きいです。さらっと読むのにちょうどよく、ちょっと空き時間にも本が読めるので、本を読む時間自体も以前より長くなったと思います。数が全てではないですが、数を読まねば多様な視点は得られないので、これはこれで良いのかなとも思います。

今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書をご紹介します。

小説部門

今月最も印象に残ったのは、村田沙耶香さんの「殺人出産」です!村田沙耶香さんの小説としては「コンビニ人間」「消滅世界」に続いて三作目で、この方の短編集としては初めての本でした 。

設定・世界観は前から知っていて気にはなっていたのですが、今回初めて読んでみたというわけです。その世界観とは「10人子どもを出産したら、1人殺すことが許される社会」という非常にぶっ飛んだ設定です。この方の本はどれもそうですが、どんな感性をしていたらこんな設定を思いつけるかと思ってしまいます(笑)

読んでいて何が正しいのかがわからなくなるという不安感。現代のシステムの合理性と、社会が合理的であるにも関わらず、いや、合理的であるがゆえに適応しきれない人間の葛藤。そして最終シーンで発露される激しく、美しく、それでいて酷くグロテスクな情動。

読んでいて、村田さんは非常にドライに社会をシステムとして見ているな、と強く感じてしまいました。人間同士を交換可能なものにせしめた近代都市というシステムの合理性を鋭く見抜き、特別な存在でありたいという人間の欲求(交換可能性の否定)の不合理性を皮肉っぽく描写する。それでありながら、そのどうしようもない人間の感情を生々しく、そして美しく描き切る村田さんの小説家としての力量は素晴らしいの一言です。

こうして考えると、村田さんの作品は、作風や切り口は違えど、僕のお気に入りの小説家の伊藤計劃さんと通じるものがあるように思いました。どちらも、非常にクールでドライな目線で世の中を見据えつつ、人間である以上、どうしても抗いきれない内なる感情の発露を描いており、僕が小説に求めているのはここなんだなぁと(笑)

この本についても、そのうちコラムを書きたいところです!

ビジネス書部門

今月のマイベストビジネス書はロルフ・ドベリ氏の「Think Clearly」です。内容としては、自己啓発的な思考法の本で、あとがきによると、その根底にあるのは心理学、ストア派哲学、そしてウォーレン・バフェットをはじめとする長期投資術(ロングポジション)。

話題作であるということもあり、もともと気になっていた本ですが、Twitterでの評判がやたらと良かったので購入を決意しました。率直な感想をいうと、個人的には自己啓発書のバイブル的な書籍「7つの習慣」に匹敵するレベルの本だと思いました。自分の考え方と近い部分も多かった一方、自分の至らなさをも痛感させられた、という意味でも読む価値は大いにあったと思います。

特に自分の考えに近いな、と思ったのが以下の三点

「あなたの成功は、本質的に、あなたが何も、本当に何ひとつ影響を及ぼせないことにもとづいて成り立っている」

「世界は、道徳とはまったく無関係にできている。」

「たとえあなたがどんなに優秀でも、世界全体の構造から見れば、あなたはさして重要でも不可欠でもない、取り換え可能な存在でしかない。」

どれも、人によっては受け入れがたいと感じてしまうかも知れません。しかし、僕自身はこの三つを比較的割り切って受け入れてしまうことができ、それが腑に落ちているからこそストレスをあまり感じないのだろうと思います。そういう意味でも、自分の考えと近い部分が多かったなと(一番下の項目については、上記の村田さんの話にも通じるものがありますね)。

文章中に、行動経済学の権威;ダニエル・カーネマン氏の引用が目立つのもこの本の特徴です。僕の読書コラムを読んでいる方ならご存知の通り、僕は行動経済学が明らかにする人間の不合理性が大好きで、そういう意味でも、この本と親和性が高かったと思います(笑)

分量としてはちょっと重めな本ではありますが、万人にお勧めできる良書です!

進化心理学への興味

先月の読書傾向として、進化心理学や遺伝についての本が多かったのが特徴かなと思います。以前、このまとめ記事にてリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」を紹介したかと思いますが、今月読んだ本の多くはこの本の延長線上にあると言えるでしょう。

進化心理学のざっくりとした説明としては、人間の種としての身体的機能や認識能力だけでなく、精神的機能(つまり心)についても進化論的自然淘汰の中で形作られたのではないか?という仮定のもとで人間心理を説明しようとする学問です。大雑把な例えとしては、「スリムな女性が男性にモテるのは、それが妊娠可能な女性を探すのに有利だったたからだ」という仮説が挙げられるでしょう(太った女性は、すでに誰かの子どもを身籠っている可能性がある)。

具体的な本としては、橘玲さんの「言ってはいけない 残酷すぎる真実」、マット・リドレー氏の「やわらかな遺伝子」、アラン・ビーズ/バーバラ・ビーズの「話を聞かない男、地図が読めない女」、ジョン・H・カートライト氏の「進化心理学入門」あたりですね。また、進化心理学ではないですが、鈴木祐氏の「最高の体調」も進化医学に基づいた本という意味では、同系列と言えると思います。

僕がこの手の本が好きなのは、「世界は/人間はこうあって欲しい」という幻想を完膚なきまで打ち崩し、人間の心もまた、進化というその場しのぎのシステムの産物でしかないという事を教えてくれるところです。まさに「残酷すぎる真実」と言って良いでしょう。人間は合理的でなければ慈悲深いものでもなく、単に環境と進化というプロセスに適合した特性を持つ遺伝子が生き残ってきたに過ぎない、という人間観は僕のそれとかなりの部分で一致します。

この考え方は「Think Clearly」の部分で書いた「世界は、道徳とはまったく無関係にできている。」という部分にも通じるものがありますね。だからといって、それに絶望する必要は全然なくて、その事実を受け入れた上でどのような行動を起こしたいか、それを考えるのが大事なのだと思います。目を背けたくなる現実を直視し、その上で自分の頭で考える力が必要なのでしょう。

一方で、このような遺伝プロセスに基づいた考え方は、あくまで仮説でしかなく、その検証は非常に困難である、という指摘を読むことができたことも大きな学びになった思います。統計的な事実と、そこから導かれる解釈は必ずしも一直線につながるものではありません。それゆえに、盲信することもまた危険なことなのでしょう。

そもそもこのような考え方は、一歩間違えると「人間は自然淘汰のシステムによって選別されてきたのだから、劣った人種は抹殺されてしかるべき 」という優生思想に繋がりやすいのも事実です。刺激的で面白い学問分野ではあるものの、適切な距離感を持って接するのが重要であるとも思いました。

まとめ

今回は9月に読んだ本のことをまとめました。やはり、読みっぱなしにするのではなくこうした形で定期的に自分の読んだ本を振り返る機会を設けることはなかなかいいですね!

それでは、また!