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【読書】2019年7月に読んだ本まとめ

こんにちは!

今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定例にしたいところです。

 

 

読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は45冊。その内訳は以下の通り。

 

- 小説・エッセイ → 5冊:国内2冊、海外(翻訳)3冊

- 自己啓発・ビジネス ・その他→ 40冊

 

6月は42冊だったので、冊数としては引き続き微増。とはいえ、小説・エッセイの冊数は先月と同じなので、新書の数が増えたことに伴う冊数増加だと思われます。

 

小説が少ないのはちょっと懸念ではあるんですが、今月は「万物理論」と「三体」という厚めの翻訳小説があったことを考えると、ある程度は仕方がないかなという気はします。読んだ本の満足度自体は非常に高かったので、そういう意味では冊数が少なかったことを、ことさら嘆く必要はないのかもしれませんね。

  

今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書をご紹介します。

 

小説部門

今月最も印象に残ったのは、オーストラリアのSF作家グレッグ・イーガンの「万物理論」です!話題沸騰中の、劉慈欣の中国SF「三体」とも悩んだのですが、それ以上に「万物理論」が面白かったので、今回はこちらを選びました。

 

この小説は、あらゆる物理現象を説明する理論である「万物理論(TOE: Theory Of Everything)」をめぐるSFサスペンスです。実は、この万物理論は架空の理論ではなく、現代物理学がまさに今取り組んでいる課題だったりします。この小説では、サイエンスジャーナリストである主人公・アンドリューが万物理論の証明が発表されるという学会に取材に行く、というのがメインストーリーになります(もちろん、証明がなされるという部分はフィクションで、現実の物理学ではこの統一理論はまだ見出されていません)。

 

この本の何がそんなに面白かったかというと、作中で議論されている内容が、僕が最近強く興味をもっていることだったということです。SFという装置を通して「科学とはなにか?」「人間とはなにか?」といった問いを投げかけており、個人的にはこれまでに読んだ小説の中でもマイベスト小説に近いレベルだと思うほどの面白さでした。

 

科学が全てを明らかにすることへの恐れからくる反知性主義や、遺伝子改変による生命力強化、性転換・性強化技術の発達により多様化した性、「人間性」をめぐる議論など、現代の「当たり前」を科学技術が壊していくという構造がまさにSFといった感じです。かなり分量も多く、マニアックな小説なので、誰にでもおススメできる本ではありませんが、本格SFが好きな方にはとてもおススメです。個人的には、グレッグ・イーガンの小説はもう少し追いかけてみたいと思いました。

 

ビジネス書部門

今月のマイベストビジネス書はリチャード・ドーキンス氏の「利己的な遺伝子」。ややミスリーディングなタイトルではありますが、ゲーム理論や進化論についての思索を通して「生物とは何か?」を考察する本です。面白さのベクトルは上記の「万物理論」に近いものがあり、人間観や生命観を揺さぶる考え方が非常にエキサイティングでした。

 

この本で語られている主張は、生命の本質は遺伝子という自己複製子にあり、進化を通して、自らの生き残りを最大化する自己複製子(利己的な遺伝子)が生き残ってきたというものです。特に、生物個体とはこの自己複製子を運ぶためのキャリアに過ぎないという部分や、我々の見せる一見「利他的な」行動は自らの遺伝子の生き残りのためという「利己的な」動機付けによってなされるという部分は出版当時から大きく議論を巻き起こしたようです。

 

一般には少し受け入れがたい主張であることは理解しますが、この考え方は僕の直感にも近い部分があり、自分が感じていた世間一般の「人間性」という言葉についてのモヤモヤした考えに対して一つの回答を与えてくれる本だと思いました。そういう意味でも非常に面白かったです。

 

わかりやすさのために比喩が多用されていることもあり(「利己的な遺伝子」というタイトルもその一つ)、それがやや誤解を生んでいる印象はぬぐえませんが、注意深く読めばその意味するところは理解できると思います。決して、生物の特性は遺伝子で決まっているとか、生物とは利己的なものであるとかといったようなレベルの議論ではありません。こちらも「万物理論」同様に全ての人に対しておススメできる本ではありませんが、僕はとても楽しく読むことができました。

 

中国SFが熱い!

 残念ながら今月のベスト小説に入れることはできなかったのですが、今回の大きなトピックは、やはり話題の中国SF「三体」でしょう。7/4に早川書房から日本語訳が出版されたばかりの小説ですが、中国ではシリーズ合計で2000万部以上売れていたり、アジア圏の小説として初めてアメリカの有名なSF賞を取っていたりと、話題には事欠かない小説です。

 

読んでみて、その話題性に違わぬ面白さは感じましたし、なによりもSFのメインストリームである西洋SFとはちょっと違った雰囲気が印象的でした。現代中国は、都市部の発達が著しく、最新のテクノロジーが発展している一方、文化大革命という歴史の闇や、沿岸の都市と内陸の地方との経済格差などの問題を抱える国家な訳ですが、この小説ではそんな中国の歪みが見え隠れしているように思いました。それでいてエンタメとしての面白さはしっかり維持している、それがこの小説のすごいところかなと感じました。

 

最近は、この小説をキッカケに中国のSF小説をいくつか読んでいます。翻訳されている本はそこまで多くはないですが、せっかくなのでこの機会にいろいろと読んでみようかなと。SFというと、これまでは主にアメリカが文化の中心だったとは思いますが、世界各地で独特の形で発展しているのは面白いですね。このように、色々な国の本が翻訳され、日本で読むことができるというのは、非常にいい時代になったなと思います。

 

まとめ

今回は7月に読んだ本のことをまとめました。やはり、読みっぱなしにするのではなくこうした形で定期的に自分の読んだ本を振り返る機会を設けることはなかなかいいですね!

それでは、また!