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【読書会】第12回レバレッジリーディング読書会(2020年3月)レポート

こんにちは!
3/14(土)の夜に、第12回レバレッジリーディング読書会を開催いたしましたので、その内容をレポートしたいと思います!

参加者の読んだ本のリストもこのレポートの中で紹介しますので、もしよければご覧ください。


概要

まず、今回開催した読書会の概要を説明したいと思います。

この読書会は知識や知恵を得るための本をよく読んでいる方が集う、ボイスチャット形式のオンライン読書会です。

具体的には月に10冊以上の本を読むというのを一つの目安とし、コンセプトは「圧倒的な量のインプットとアウトプットができる読書会」です!
読書会用のホームページを準備しているので、詳細はそちらをご確認ください。

leverage-reading.com
冒頭に書いた通り、今回の参加者は主催の私を含めて5人。初めましての方も多く、12回目にしてはじめての満員御礼です!
全体の流れとしては、まず順番に自己紹介を行い、その後に読書会のメインイベントとして①月間ベスト本の紹介と、②読んだ本リストを見ながらのQ&A形式のフリートークです。

読んだ本リスト

事前に参加者の方から2月に読んだ本のリストを頂き、主催者がそれを一つの表にまとめて参加者の方々に配布しました。実際の読書会ではそれを見ながらの進行になります。↓が実際に使ったリストです。

個人利用の範囲で閲覧・ダウンロードは自由にしていただいて問題ありませんが、二次使用・無断転載等はご遠慮願います。
【第12回】レバレッジリーディング読書会リスト.xlsx - Google ドライブ

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ベスト本紹介

リスト内の黄色塗りのセルは各参加者の月間ベスト本です。ここでは、それぞれの本について簡単に説明します。

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「かわいい論」 四方田犬彦(ちくま新書)

こちらは私が紹介させていただいた本です。筆者は映画・文化を専門としている四方田犬彦さんという方で、内容としては、様々な側面から「かわいい」という概念について考察していくというもの。もはや「かわいいを哲学する」と言っていいと思います(笑)

日本人にとっては、身近にありすぎるが故に特に注意を払われない言葉だと思います。しかし、「かわいい」を適切に翻訳する言葉は他国にはあまり無いらしく、だからこそ「Kawaii」という言葉が世界共通語になりつつある。自分にとっての「当たり前」を深く追求していくという過程が面白く、おすすめの一冊です。

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「怒りの葡萄」ジョン・スタインベック(ハヤカワepi文庫)

こちらは、今回初参加の方の紹介本です。ノーベル文学賞も受賞したジョン・スタインベックの長編小説であり、アメリカ文学の代表的作品の一つです。少し前までは、読書会のスタンスを「ビジネス書・実用書」という括りでやっていましたが、今はそれを拡張して捉えているので、小説の紹介も全然OKとしています。

舞台は1930年代のアメリカ。地方の零細農家が、大企業による買収によってその農地をうばわれ、労働を求めてカリフォルニアに向かうという物語。単なる大企業を悪者にした対立の話ではなく、その奥にある苦しみの連鎖を描いた作品だそうで、労働や資本主義について考えさせられそうな作品だと思いました。日本でも労働やワーキングプアの問題が社会問題になっているので、ある意味タイムリーな本だったとのコメントも。私自身も以前にこの著者の「ハツカネズミと人間」という小説を読んで衝撃を受けたので、こちらの作品もそのうち読んでみたいところです。

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「習慣の力」チャールズ・デュヒッグ(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

こちらも初参加の方の紹介本です。筋トレや勉強などの良い習慣。飲酒や喫煙などの悪い習慣。一口に習慣と言ってもいろいろありますが、その「習慣」という概念を科学的に解説しているのがこちらの本になります。自己啓発書でありがちな「個人の体験のみに基づく」ノウハウではなく、科学的研究に基づく知恵なので説得力はかなり高いです。

人間の行動のかなりの部分は「習慣」でできており、人生の満足度を上げる為には、いかに「習慣」をうまく利用するかが大事になってくるようです。習慣のメカニズムとはどういうものなのか、そして、いい習慣を身につけ、悪い習慣をやめるためにはどうしたらいいか、を考えるヒントになる書籍だと思います。実際に紹介者の方自身も、この本に書かれたことを利用して、甘いものを食べてしまう習慣を抑えられていると仰っていました。

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「まほり」高田大介(KADOKAWA)

こちらも初参加の方の紹介本。内容としては、民俗学をテーマにしたミステリーです。紹介者の方は理系の方で、人文学系の研究がどのような形で行われるかを知ることができた、という側面での面白さもあったと仰っていました。もちろん、ミステリーとしても面白く、お勧めできる一冊だとのことです。

その時に話していたのが、この物語の中で描かれているという「間引き」についての研究についてです。こういった後ろ暗い事実はなかなか記録としても残っておらず、残っていても控え目に書かれていたりしているので、なかなかその実態を掴むのは難しい。そういった、記録自体だけでなく、記録を残した主体についての考察も必要だというのが新鮮だったとのことです。私も民俗学には興味があるので、こちらも本屋で探してみたいと思います。

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「未来をつくる図書館 - ニューヨークからの報告」菅谷明子(岩波新書)

こちらは、前回カール・ニューポートの「デジタル・ミニマリスト」を紹介してくれた方の紹介本です。内容としては、ニューヨークにある、とある図書館についての解説。一般的に図書館というと「本を借りるところ」「資料を探しにいくところ」という印象が強いと思いますが、この本で紹介されている図書館は一風変わった特徴を持っているようです。

なんでも、この図書館では、来た人の事業(ビジネス)相談に乗ったり、マーケティングなどの各種セミナーが開かれていたりと、利用者のビジネスの推進の役割をも担っているとのことです。また、それだけでなく、芸術や子どもの教育に特化した施設も持っているらしく、ある意味「図書館」という施設を再定義しているようなところなのかも知れません。運営も公的機関ではなく、NPOによってなされているというところもポイント。

余談ではありますが、この本の話を聞いた他の参加者の方から、東京豊島区の中央図書館でも似たような取り組みをしているという情報をいただきました。昨今の状況では足を運ぶのはなかなか難しいですが、状況が落ち着いたら是非行ってみたいですね!

それと同時に、こうして「誰かが出した話から連鎖的に発想が広がっていく」というのが読書会としても理想の形だなぁと思いました。どれだけ本を読んでいても一人がアクセスできる情報は限りがありますし、どうしても偏ったものになってしまうので、新たな気づきや発見の意味でも人が集まって自由に話せる場は大事だと改めて感じました。

Q&Aタイム

今回もこれまでと同様に、Q&Aタイムとして、リストを見ながら1人1回づつ他の参加者に自由に質問ができるという時間を設けました。今回は人数が多く、すべての質問をキャッチアップすることは難しいので、個人的に印象に残ったところだけ紹介したいと思います。

特に印象的だった話は、小松左京さんの「復活の日」という小説についてです。未知の感染症を取り扱ったSF小説ということで、現代の世界の状況もあって話題になっている本のようです。この本を読んだ方が言っていたのは、感染症が蔓延する中での人々の反応が、すごくリアルに書かれているのが印象的だったと言うことです。スポーツイベント等が中止になったり、電車で咳をすると白い目でみられるなど、今の世界を見ながら考えながら読むと、そのリアリティにぞくっとしてしまいそうです。流石は小松左京と言ったところでしょうか。

あと、印象的だったのが『「原因」と「結果」の法則』について。なんとなく名前は知っていたのですが、どんな本なのかは全然知らなかったので、中身を聞くよい機会になりました。その内容としては内面と外面の関係であったり、自分の内面と環境の関係について、といったマインドセットについての本のようです。内面を磨くことが大事であると。100年以上前の本だとのことで、長く読み継がれるだけのものはあるのだろうなと思いました。

また、私が質問させていただいたのが、タイトルをみて気になっていた「第3のビールは、なぜビールの味がするのか?」という本について。ビール → 発泡酒 → 第3のビールと、税金を課す側と新しい「ビールっぽい飲み物」を開発するメーカーとの追っかけっこについて書いた本だとのことです。僕自身はそこまで日常的にはお酒は飲まないのですが、そのインパクトのあるタイトルがすごく気になりました(笑)。簡単に内容を伺いましたが、第3のビールには麦を使っていない(!)という事実には衝撃を覚えました(笑)。メーカーも利益を出す為に色々と考えるのだなぁと感嘆せざるを得ません。

そんなこんなで気がつけば終了時間になったので、挨拶をしてお開きに。やはり人数が多いと色々な話が聞けて得られるものが多いと強く実感した90分でした。

まとめ

今回は第12回レバレッジリーディング読書会のレポートを書かせていただきました。

今回は初参加の方が多く、人数も多かったので少し緊張していましたが、蓋を開けてみればリラックスして様々な話が出来ました。やはり、新たな発見や創造・面白さを生み出すには多様性は不可欠だと改めて思います。紹介いただいた本も、文化論からノンフィクション、心理・実用に国内外の小説とバラエティに富んでおり、自分の射程範囲外からの情報がたくさん得られてありがたい限りです。

次回は4月18日の夜に開催予定です。すでに募集は開始しており、HPか読書メーターより参加申し込みが可能です。興味のある方は是非お申込みください!

ホームページからの申し込みはこちら
参加申し込み | レバレッジリーディング読書会

読書メーターからの申し込みはこちら
bookmeter.com
それでは、また!