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【読書会】彩ふ読書会(横浜)2020年1月参加レポート

こんにちは!
先日1/19に行われた、のののさん主催の彩ふ読書会に参加したので、そのときのレポートを書きたいと思います。

開催者の方の公式のレポートは↓です。併せてお読みいただければと思います。
iro-doku.com

記事の中で、課題本の「風が強く吹いている」のネタバレを多少含むので未読の方はお気をつけください。


彩ふ読書会横浜地区

彩ふ読書会は、のののさん(通称のーさん)という方が主催している読書会です。のーさん自身は大阪の方で、もともとは大阪を中心に読書会を行っていたそうなのですが、それをもっと広げようということで、現在6拠点(大阪・東京・名古屋・京都・神戸・横浜)で読書会を展開しています。本当に主催者の方の行動力には脱帽する限りです。

この読書会のコンセプトとして主催者が掲げているテーマは「居場所作り」で、私自身がこのコンセプトに強く共感したこともあり、2018年6月より東京地区のサポーターとしてお手伝いさせて頂いております。今回はこの1月から新設された横浜会場の記念すべき最初の会です!

今回の参加人数が午前は13人、午後は12人でした。東京会場では男女比が大体1:1くらいですが、今回の横浜会場では男性がかなり多く、女性が少なかったのが印象的です。地域がらがあるのか、今回たまたまなのかはわかりませんが、比較的女性人気の高いイメージがある三浦しをんさんの課題本だっただけに少し意外です。まあ、実際に話始めてしまうとあまり気にならないところではありますが。

午前の部「推し本披露会」

今回の推し本披露会は2グループに分けて行われました。僕が参加したのはAグループです。

紹介された本たちはこちら (参加者直筆の紹介文は公式レポートで公開しています。ぜひそちらもご覧ください)

Aグループ f:id:KinjiKamizaki:20200120144102j:plain
Bグループ f:id:KinjiKamizaki:20200120144122j:plain

今回、僕が紹介した推し本はピーター・トライアスという日本大好きなアメリカ人作家が書いたSF小説『メカ・サムライ・エンパイア』。なんというか、タイトルの時点で既に出落ちな感が満載です(笑)。内容としては第二次世界大戦で日本とドイツが勝った世界線という歴史改変小説で、現実のアメリア大陸を舞台に「ドイツ製バイオメカ VS 日本製サムライメカ」が繰り広げられるという、タイトルに違わぬB級小説。前回の東京のレポートで書いた「SFは哲学である」とは何だったのか…(笑)

大まかなストーリーとしては、サムライメカに憧れるオタクの青年が紆余曲折あって軍(のような組織)に入って肉体的にも精神的にも強くなり、実戦経験や学園生活を通して仲間たちとの友情を育み、最終的にバイオメカを有するナチスドイツ軍との戦いに巻き込まれるというもの(なぜ軍での訓練の後に学園生活があるのかと突っ込んではいけない(笑))。こうしてみると、見事なまでにアメリカンなマッチョイズム的なストーリー展開ですね。読んでいて、ハインラインの「宇宙の戦士」なんかの影響を感じました。

ちなみにこの小説には世界観を共有する前作があり、そちらのタイトルは「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」(そして設定の時点でピンと来た方もいるように、このUSJの元ネタはフィリップ・K・ディックの「高い城の男」です)。前作の「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」は、多少のB級感はありつつも、サスペンスやミステリー、サイバーパンクなどの要素を詰め込んだ真面目なSFをやっている印象ですが、この「メカ・サムライ・エンパイア」は本当に勢いとキャラとメカアクションだけで押し切ったバカSFと言った感じです(褒め言葉)。深く洞察するタイプの小説ではないものの、頭を空にしてエンタメとして楽しむ分にはめちゃくちゃ面白く、グレンラガンとか好きな人なら楽しめると思います(笑)。

そして、近日アメリカで発売予定の著者の新作は「サイバー・ショーグン・レボリューション(Cyber Shogun Revolution)」(笑)。なんか、巻を重ねるごとにどんどんタイトルがひどくなっている気がしますが、このタイトルを知った時、翻訳された暁にはすぐにでも読もうと決意しました(笑)

今回同じテーブルで紹介された本を見てみると、全体的に小説の割合が多く、特に純文学を紹介している方が多かった印象です。皆さん結構しっかりした本を持ってきていたので、完全に流れをぶった切ってふざけた本をぶち込んでごめんなさいって感じです(反省はしていない(笑))。安部公房の「砂の女」やガルシア・マルケスの「百年の孤独」など、結構気になっていた本も多かったので、これを機会に読んでみてもいいかもと思いました。

そして、今回のテーブルで唯一の非小説である「八本脚の蝶」がものすごく気になりました。既に亡くなっている二階堂奥歯さんという文壇の世界では有名だったらしい編集者の方が存命のころの日記らしく、自殺するまでの日々を綴ったものだそうです。本当に色々な本を読んでいた、まさに「本の虫」だったようで、精神的に追い詰められていく様子が生々しく描かれているとのこと。紹介者の方は「猛毒」と表現していて、精神的に不安定な時期は読まない方がいいとまで仰っており、そこまで言われると非常に気になってしまいます。来月河出文庫から文庫版が出るらしいので、出版されたら本屋で探してみようと思います。

テーブル内ではそんな感じのラインナップだったので、横浜は純文学が好きな方が多いのかなーと思いきや、別テーブルでは特にそんなこともなく、単純にその時のメンバーの問題だったのかもしれません。これからも横浜でどんな本が紹介されるのか楽しみですね!

午後の部「課題本読書会」

今回の課題本は三浦しをんさんの著作「風が強く吹いている」です。一昨年の8月くらいに東京で三浦しをんさんの「舟を編む」を課題本にした時のことを思い出します。正月明けで箱根駅伝が終わったばかりというタイミングで、かつ横浜の初回ということで神奈川の箱根を題材にした作品というチョイスがニクいですね!

今回は12人が一つのグループで課題本読書会を行いました。いつもなら2グループに分けるくらいの人数ですが、たまにはちょっと大人数でやってみても面白いかなと思い、思い切って1グループでの会としました。それが良かったのかは皆さんに意見・感想を聞いてみないとわかりませんが、読書会参加者にも「自分が話すよりも、人の話を聞きたい」という方も一定数いると思うので、お互いに変に話題を探しに焦らなくてもいいという意味での良さはあったかなとは思います。今後どうするかは要検討ですね。

僕自身は運動というと筋トレとジムでのウォーキングくらいしかしていないということもあり、この日はスポーツをしている方の話を聞くのが面白いと思いました。なんと、昔この本を読んだことをきっかけに駅伝を始めたという方もおり、走ることの孤独さと、孤独だからこその良さという話を聞いて、その辺りは経験がある人ほど共感しやすいのだろうと感じます。また、走ることではないものの、自転車でのロードレースなどをやっている方もいたりして、多少競技形態が違っても個人競技という意味での共通項も多いのだということに気づきました。

また、この読書会の途中で登場人物10人で人気投票を行ないました(笑)!結果としては、漫画好きの「王子」が他を突き放してのトップ(4/12票)。漫画好きというのも一押しポイントではあると思いますが、メンバー中最も体力が無い中で最後までハイジの無茶に食らいつき続けたことが共感を呼んだようです。筆者の三浦しをんさんが漫画好きということもあって、実はこのキャラはしをんさん自身をイメージして書いているのでは無いかという鋭い指摘もありました(個人的に好きなキャラは外国人留学生のムサでした)。

個人的に印象的だったフレーズは、物語後半の「走りは、走を一人にするばかりではない。走りによって、だれかとつながることもできる。走るという行為は、一人でさびしく取り組むものだからこそ、本当の意味でだれかとつながり、結びつくだけの力を秘めている。」という部分。なんでもかんでも自分の好きなものと結びつけるのはどうかと思いつつ、これは読書にも言えることなのかなと思ってしまいました。走ることと同様、本を読むことも基本的には自分一人で深く潜っていく行為ではありますが、そういう孤独な行為だからこそ、人とのつながりを生み出す力を持っているのではないか、そんなことを考えてしまいました。

やはりこのフレーズは他の方々も印象に残ったらしく、人生において一人でやらなければならないことと、みんなで協力して楽しんだり、新しいものを生み出すことのバランスが大事なんだろうと思います。

振り返ってみると、なんだかんだで昨年の10月ぶりの課題本読書会でしたが、本当にあっという間の90分でした。大人数のグループだった分、自分の話す量は少なくなったものの、他の方々の話を聞く時間は長くなったので、これはこれでいいのかなという気はします。皆さんの意見を聞きつつ、今後どうするかは考えていきたいところですね。

まとめ

今回は1/19に行われた彩ふ読書会についてのレポートを書かせていただきました。いつものことながら、充実感のある休日が過ごせるのがいいですね。

次回の開催日は1月26日(東京)、2月9日(横浜)です。どちらも午前は推し本披露会、午後の課題本読書会。課題本は東京は朝井リョウさんの「何者」、横浜は村上龍さんの「コインロッカー・ベイビーズ」。「何者」はつい最近読み終わりましたが、思わずだれかと話したくなる本だったので、次回東京で話せるのは楽しみです。そして、「コインロッカー・ベイビーズ」は未読ですが、こちらもかなりの傑作だということで、まずは読むこと自体が楽しみですね!

どちらも募集は既に開始しているので、詳しい内容は彩ふ読書会のサイトから↓

東京
【東京】2020年1月26日(日)AM "推し本披露会" 開催のお知らせ | 彩ふ読書会
【東京】2020年1月26日(日)PM "何者"課題本読書会 開催のお知らせ | 彩ふ読書会

横浜
【横浜】2020年2月9日(日)AM "推し本披露会" 開催のお知らせ | 彩ふ読書会
【横浜】2020年2月9日(日)PM "コインロッカー・ベイビーズ"課題本読書会 開催のお知らせ | 彩ふ読書会

それでは、また!