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【読書コラム】思考は現実化する - 合わない本から見えること

こんにちは!

今回も読書コラムを書いていきたいと思います。テーマ本はナポレオン・ヒル氏の「思考は現実化する」。タイトルからしてこの本に喧嘩を売っているようにも思われたかも知れませんが、特にそういうつもりはありません(笑)。

 

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おことわり

本文に入る前に、何点かおことわりしておきたい点がありますので、ご承知の上お読みいただければと思います。

 

1. 読書コラムという形式

まずは本記事のスタンスについてです。本記事では、私がテーマ本を読んだことをきっかけに感じたことや考えたことを書いていくものとなっており、その意味で「読書コラム」という名称を使っています。

 

書評を意図したものではないので、本の中から筆者の主張を汲み取ったり、書かれた時代背景や文学的な考察をもとに読み解こうとするものではないので、そういうものを求めている方には適していないと思います。あくまでも「現在の私が」どう考えたかについての文章です。人によっては拡大解釈しすぎではないかとも思うかも知れませんが、その辺りは意見の違いということでご勘弁いただきたいところです。

 

 2. 記事の焦点

どうしても文章量の都合とわかりやすさの観点から、テーマ本に描かれている色々な要素のうち、かなり絞った内容についての記事となっています。

 

本当は色々と書きたいのですが、どうしても文章としてのまとまりを考えるとそぎ落とさざるを得ない部分がでてしまうのが実情です。

 

3. ネタバレ

今回も前回の「銃・病原菌・鉄」同様に、ネタバレはあまり気にならないかなと思います。正直、そこまで本自体の内容について突っ込んだ議論をするわけではないので、未読の方でも全然問題ないとは思います。

 

前置きが長くなってしまいましたが、ここから本文に入っていきたいと思います。

 

総括

この本を読んで僕が感じたことは、「合わない本こそ、自分の価値観を知るきっかけになる」ということです。自己啓発本としては非常に有名な本ではありますが、正直この本に書いてある内容は、僕の感情を大きくゆさぶるものではありませんでした。しかし、読んで意味がなかったかというとそんなことは無いと思っていて、むしろ合わなかった本を読んだ後こそ、自分を見つめなおすチャンスではないかと思いました。

 

今回はそのあたりについて、「合わない本から見えること」というタイトルで書いていきます。

 

それでは、 詳しく見ていきたいと思います。

 

「思考は現実化する」

まず、この本の内容をざっくり説明します。

 

この本が主張する基本的な考え方は、タイトルの通り「思ったことは実現できる!」という前提に立って、「具体的な目標、自分が手にしたい金額を設定し、それを手にした自分を想像することが重要である」ということです。

 

例えば、「1億円手に入れる」と言う目標を立て、その時の自分をイメージする、といった感じです。そして、目標が決まったら、それを手に入れるための行動計画を立て、実際に行動せよというのがこの本の主旨となります。

 

1億円手に入ったら何をしますか?

まあ、なんというか上記の説明を読んだだけで同じような気持ちになった方も多いかもしれませんが、読んでいる間の僕の率直な気持ちは「大金を得ることへの執着がすげぇな(笑)」というものです。そうは思いつつも、僕自身も律儀に1億円手に入った自分を想像しようとしてみました。

 

そこで気付いたのは、1億円を手に入れたことをイメージしてみても、全然自分がワクワクしていないということです。例えば宝くじで1億円当たった自分を想像した場合(そもそも宝くじなんか買いませんが)、そこで自分が何をするかと考えると、おそらく何も考えずにインデックス型の投資信託に突っ込むのではないかと思います。年率2~3%程度で運用すれば、年間200~300万は手に入るから、それだけで割と生活は出来るようになるなーなんて冷静に考えるくらいです(笑)

 

言い換えれば、僕は大金を消費して贅沢したり、優雅な生活をすることにあまり興味が無いのだと思います。別にお金に執着することが汚いとか、贅沢が悪であるとか、人生にとってお金は重要でないなんて事を言うつもりは毛頭無く、純粋に僕の感情は1億円を手に入れることを考えてもワクワクしないという事実でしかありません。

(むしろ、人生においてお金が重要なものの一つであることは全く否定しません。だからこそ、僕も含めて世の中の人たちはお金の使い方や仕組み等をもっと知るべきだと思っています)

 

いずれにしても、お金自体のためにやる気を高めて何かをすることは、自分には難しいなというのがこの本を読んだ感想です。もちろん、この本の考え方自体を否定するつもりは無く、モチベーションの高め方は人それぞれで、僕にはこの本の考え方が合わなかったというだけの話だと思います。そもそもこの本の英語でのタイトルは「Think and Grow Rich」なので、元々お金を得るという目標で自分を動機付けできる人に向けた本なのだと思います。

 

結構言いたい放題に書いたので一応フォローしておくと、行動指針としての考え方については同意できる内容が多かったです。一部スピリチュアルな部分があって、そこはちょっと首を傾げてしまいましたが、「人にされて嫌なことを人にしない」とか「相手の期待プラスアルファの仕事をする」などの基本的な考え方は凄く大事な考え方だと思いましたし、それはその通りだなと感じました。

 

自分にとって大事なものとは?

ここで問題となるのは、「お金をモチベーションに出来ないのであれば、僕は何に動機付けされているのだろうか?」という問いです。これはなかなか複雑な問題で、はっきりと明確な一つの要素として答えが出せるような類の問題では無いと思います。ただ、こういった問いをきっかけに自分とって大事にしていることについて思索をめぐらすことこそが重要なことなのだと思います。

 

例えば、自分がワクワクしたり、楽しいと感じる場面を考えてみると、「本屋で大量の本を買ってきたとき」とか、「その本を読んでいるとき」とか、「読書会に参加するとき」とか、「何か新しいもの・ことを人と協力して作っているとき」とか、「筋トレをしているとき」とかが挙げられます。これらの共通点を考えていくと、「自分が成長を続けること」「人と交流・意見交換すること」「新しいものを生み出してくこと」なんかが自分にとって大切な要素なのだということが、ぼんやりにでも見えてくると言うことです。

 

もちろんこれはひどく単純化した思索ですし、また一生を通して変わらないものであるかどうかはわかりません。もしかしたら、色々な価値観に触れたり知識を得るに従って、将来的に大金を得ることが自分にとって大事な概念になる可能性も0ではありません(あまりそうなるとは思っていませんが)。

 

合わない本だからこそ見えてくるもの

いずれにしても、そうやって自分の価値観について思考を巡らし、自分の立場を見出していくことは重要なことだと思います。これも別の本をもとに思考を巡らせてたどり着いた考えですが、自分の価値観を良くわからないままにしておくと、周りに流されたり、同調圧力に安易に屈することになりがちです。確固たる自分とまではいかないまでも、自分がどういう人間なのかを確立していくのはとても大事なことだと思っています。

 

だからこそ、僕はこの本を読んでよかったと思うのです。冒頭に書いたとおり、正直この本は僕の価値観に沿ったものではなかったですが、そうであったからこそ、「この本の何が自分にとって気に食わないのか?」「なぜこの本を読んで心を動かされないのか?」という問いが生まれ、それによって自分の価値観を見つめなおすことが出来たのです。

 

これが、僕が今回の記事で言いたかった「合わない本こそ、自分の価値観を知るきっかけになる」という言葉の意味です。自分にとって合わない本を、質の悪い本・つまらない本という一言で片付けるのは簡単です。でも、あえてそうせずに、しっかり考えることで自分がどういう人間なのかを知る手がかりになるのではないか?というのが今回この本を読んで考えたことです。

 

ここまで書いて頭に降りてきた考えですが、これは人に対しても同じかも知れません。自分に合わない考え方の人を「嫌な奴」「頭のおかしい人」と一蹴するのではなく、「なぜその人のことが嫌いなのか?」を考えることで自分の価値観を発見できますし、それこそが多様性のあるコミュニティの面白さの一つなのだと思います。

 

まとめ

今回はナポレオン・ヒル氏の「思考は現実化する」を読んで感じたことを書いてみました。今までの読書コラムでは、主に自分が好きな本や共感できる本について書いていましたが、今回の記事で書いたとおり、合わない本に対してコラムを書くことで見えてくることもあるのかもしれません。

 

あんまりそればっかりだと、それはそれで批判家みたいになってしまう気がするので(笑)そこまで頻繁にやるつもりは無いですが、たまにはそういった文章を書いてもいいかなと思いました。

それでは、また!