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【読書会】彩ふ読書会11月参加レポート

こんにちは!

先日11/11に行われた、のののさん主催の彩ふ読書会に参加したので、そのときのレポートを書きたいと思います。

 

普段は読書会に参加しても、あえて記事を書いたりはしないのですが、この読書会はサポーターとして参加させていただいていることもあり、ちゃんとレポートを書くようにしています。

 

開催者の公式レポートは下記になります。

iro-doku.com

今回も、前回と同様に、午前と午後両方の参加です。記事の中で、課題本の「ハーモニー」のネタバレを多少含むので未読の方はお気をつけください。

 

 

彩ふ読書会東京地区

彩ふ読書会は、のののさんという方が主催している読書会です。のののさん自身は大阪の方で、もともとは大阪を中心に読書会を行っていたそうなのですが、それをもっと広げようということで、東京・名古屋・福岡などでも読書会を展開しています。本当に主催者の方の行動力には脱帽する限りです。

 

この読書会のコンセプトとして主催者が掲げているテーマは「居場所作り」で、私自身このコンセプトに非常に共感したこともあり、サポーターとしてお手伝いさせて頂いております。参加人数が増えたことで、私自身はなかなか一人ひとりの方とゆっくり話すことができずちょっともどかしいですが、参加者の方同士の交流が増えてきて「場」としての雰囲気が醸成されてきたような気がします!初参加の方と何度か参加されている方も結構スムーズに打ち解けていて、とても良い雰囲気を感じました。

 

午前の部「推し本披露会」

参加者が増えてきたこともあり、今回は推し本披露会は3グループに分けて行われました。私が参加したのはAグループです。

紹介された本たちはこちら

 

Aグループ

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Bグループ

 

Cグループ

 

私が紹介した推し本は佐々木典士さんの「僕達は習慣で、できている。」。これまで、この読書会では小説を紹介していたのですが、今回は趣向を変えて自己啓発書を持っていきました。いかにして良い習慣を継続し、悪い習慣を排除していくか?という問いについてのヒントを与えてくれる本となっています。

 

私が今回この本を持ってきた理由は、この本の中で「我々が習慣を続けられないのは、人間は目の前の報酬に極端に弱いため」ということや「意思決定というのは単一の魂ではなく、様々な欲求の合議制で決まる」といったことが書いてあり、これが午後の課題本の小説「ハーモニー」とテーマを共有していたためです。

 

私が初めてこの本を読んだとき「ハーモニー」との類似に気付き、小説と自己啓発書が繋がったような感覚を覚え、それがとても面白いと感じました。この小説と自己啓発書のオーバーラップの面白さというものを少しでも感じてもらえたら嬉しいな、という思いで持ってきたわけです。

 

私はいろいろな読書会に参加する中で、小説が好きな方とビジネス書・自己啓発書が好きな方の心理的な壁は大きいと感じていました。今回の参加者の方でもいたのですが、「ジャンルフリーの読書会に小説を持っていったけど、周りはビジネス書ばかりであまり自分の好きな本の話ができなかった」という話は本当に良く聞きます。そこの垣根を越えてお互いに興味をもつ一つのきっかけになればいいな、という気持ちで紹介させていただきました。

 

今回は全体的に小説を持ってきた方が多かったかなという印象です。ここまで人数が増えてくると、面白そうな本が多すぎて何を読んでみようか迷ってしまいます(笑)。中国SFアンソロジーの「折りたたみ北京」、最近映画化もした「億男」、岡本太郎さんの「心の中に毒をもて」なんかはもともと興味がありましたが、それ以外にも面白そうな本が沢山ありました。

 

あと印象的だったのは、以前ここの読書会の課題本にもなった「モモ」を持ってきた方がいたことですね!以前読んで凄く気に入った本だったので、持ってきた方がいたのはとても嬉しかったです。後で知ったのですが、この読書会の次の日の11/12が作者のミヒャエル・エンデさんの誕生日だったらしく、もしかしたらそれも意識した選書だったのかもしれませんね。

 

午後の部「課題本読書会」

今回の課題本は、伊藤計劃さんの「ハーモニー」でした。この小説は、今まで読んだ小説の中で最も好きな小説であると自信を持っていえる作品なので、この本について皆さんと話せたのは感無量の思いです。ただ、その思いが強すぎてしっかり自分の考えを言語化できていたかはちょっと怪しいです(笑)

 

課題本がSFということも関係しているのか、今回は男性の参加者が多かった印象ですね。この読書会では、毎回やや女性が多いことが多いので、そういう意味ではちょっと普段とは雰囲気が違ったかもしれません。

 

息苦しさを感じる世界観やテクノロジーやプライバシーについて、また結末についてどう感じたか?なんてことが話題になりました。あとは、一部この小説の中でも言及されていたりオマージュが含まれていたりする、過去のSF小説「すばらしい新世界」「1984年」「華氏451度」についての話も多かったです。

 

私として皆さんに一番聞きたかったのは、結末をどう感じたか?という部分です。私自身は、初回読んだときは判断できず、何回か読む中で、ハーモニクスの達成された世界を比較的肯定的に捉えるようになりました。一方で、「この世界は絶対嫌だ」という方もいて、その考え方の違いも含めてとても面白い意見交換になりました。色々話していくうちに、自分の考えの矛盾や考察が足りていない部分が見えてきたりして、やっぱり一人で考えるだけじゃなくて、皆で話すと全然違う見え方がするのだなと痛感しました。

 

あと、全然意識していなかったにも関わらず、今回の議論をしている途中で自然と前回の課題本の「コンビニ人間」の話に移ったのが印象的でした。そのときに話していた方は前回は参加されておらず、前回の課題本が「コンビニ人間」であることすら知らないようだったので、なんだか不思議な感じです。全然違う作風のこの二作ですが、案外根底にある考え方なんかは似ているのかもしれません。村田沙耶香さんの作品の「消失世界」は「ハーモニー」に似ている部分も多いので、村田さんの世界観と「ハーモニー」に共通点があると考えても不思議ではない気もしますね。

 

これまでの課題本同様に、この本についてもそのうち読書コラムとして記事をまとめる予定です。まだ自分のなかで今回の読書会の内容が全然まとまっていませんし、考えるべきテーマが多すぎて大変ですが、とても好きな小説なので、納得の行く形で記事にしたいと考えています。

 

>2019 1/4追記 書きました

【読書コラム】ハーモニー - 意思と現象のディスハーモニクス - たった一つの冴えた生き様

 

まとめ

今回は課題本が自分の大好きな本だっただけにとても印象深い読書会になりました。

 

次回の開催日は12月23日です。次回は課題本は、今回とはうって変わって有川浩さんの「植物図鑑」。今回とは全然違う雰囲気の読書会になりそうだなって感じで、どんな話になるのか楽しみです。

 

それでは、また!