こんにちは!
先日8/19に行われた、のののさん主催の彩ふ読書会に参加したので、そのときのレポートを書きたいと思います。
普段は読書会に参加しても、あえて記事を書いたりはしないのですが、この読書会はサポーターとして参加させていただいていることもあり、ちゃんとレポートを書きたいと思います。
開催者による公式レポートは下記になります。
彩ふ読書会
今回参加した彩ふ読書会は、のののさんという方が主催している読書会です。のののさん自身は大阪の方で、もともとは大阪を中心に読書会を行っていたそうなのですが、それをもっと広げようということで、東京・名古屋・福岡などでも読書会を展開しています。本当に主催者の方の行動力には脱帽する限りです。
今回この読書会に参加したのは2回目で、初回は6月に参加いたしました。その時に東京地区のサポーターをやりたい旨をお伝えして、今回からはサポーターとして参加させていただくこととなりました。ちなみに私が参加したのは、課題本形式の午後パートのみで、紹介本形式の午前パートには不参加です。(次回は午前午後両方参加の予定です)
ここでサポーターとして参加しようと思った経緯や思いなんかも書こうと思いましたが、想像以上に長くなりそうだったので、そのうち別記事としてまとめます(笑)。一言で言うと、「居場所作り」という主催者のビジョンに共感したから、という話です。
課題本
今回の課題本は、三浦しをんさんの「舟を編む」でした。辞書の編纂に携わる人たちを描いた小説で、2012年本屋大賞受賞作です。映画やアニメにもなっている本なので、原作は読んでいなくても映画やアニメでは見たことがあるという人も多かったのかなと思います。
この本は私自身とても好きな本の一つで、実は主催サイドで課題本をどうするか検討していたときに私が推薦させていただいた本でした。もともと、他の方がどのような意見を持つのだろうと思い推薦させていただいたこともあり、今回どのような会になるかがとても楽しみでした。
とはいえ、正直に言うと自分で推薦しただけに一抹の不安もありました。特に、今回はサポーターとして会の進行も任されていたので、会が盛り上がらなかったりしたらちょっと責任を感じてしまっていたと思います。
物語としては非常に面白いし、人気の高い小説ですが、読者に対して明確な問題提起があるわけではないお話だと思うので、それぞれが意見を言うだけで終わってしまったり、時間内に話が出尽くしてしまい、きまずい時間ができたら嫌だなーと(笑)
結論から言うと、そんなことはなく、キャラクターや仕事についてなど話題は尽きず、読書会終了後の時間にも皆さん残って話すくらいに盛り上がった会とすることができました。やはり好きな本については皆さん話したいことが沢山あるんだなっというと、始めはお互いちょっと固い雰囲気であっても、同じ場で会話を続けているとそれぞれから双方向的な会話は自然に生まれてくるんだなーと思い、読書会の面白さや可能性について再認識できた会となりました。
議論内容
ひとつひとつ挙げていくときりがなくなりそうなので、印象に残ったことを2点だけ。
1. 西岡について
正直、私はここが一番皆さんに聞きたいなと思っていた部分です。
私はこの本の中でも、馬締くんのサクセスストーリからの西岡パートの流れが一番好きな部分で、辞書作りに天職とも言える程の適正を見せて公私共に破竹の勢いで活躍する馬締を羨望と嫉妬のまなざしで見つめ、自分にはそこまで熱中できるものがないと嘆く西岡に対し、自分にとても近いものを感じて強い共感を抱いていました。
一般的にはちょっとヤなやつのように描かれているので、他の方はどう思うのかと気になっていましたが、思ったよりも西岡が良かったという人が多くて、ちょっと嬉しかったです。一方で、本当に一つの事に熱中している人は、自分が熱中しているとは認識していないんじゃないかという意見があって、それが個人的にははっとさせられる一言でした。確かに、そういう意味では「熱中できるものを探そう」というスタンスではなく、とにかく自分が面白いと思うことに向き合い続けるのが大事なのかなーと思ったりしました。
西岡については、もちろんポジティブな意見だけではなく、馬締や彼女に対するデリカシーのない態度について「ちょっと人間としては仲良くなれないと思う」という辛らつな意見もありました(笑)。確かにおっしゃるとおりで、一人で読んでるといい面ばかりに目が行きがちですが、こういう意見も聞けるのがいいところだなーと感じます。立ち振る舞いには気をつけましょう。
2. 善人しかいないこと
これは読書メータの感想なんかを読んでいても、同じような意見は結構ちらほら見ていました。確かに、物語の中で明確な敵といえるような人物がおらず、脇役含めて皆が優しく、いい人しかいないというのがこの小説の特徴だと思います。
ただ、今回参加していた人が、「善人しかいないのに、困難を乗り越えるということがきっちり描かれている」とおっしゃていて、その意見にはとても納得してしまいました。先に書いたとおり、善人しかいないというところまでは考えが及ぶ人が多いと思いますが、そこからこの意見まで考えを昇華しているのが素直に凄いなと思い、今回の読書会でも印象的なシーンでしたね。
物語の中に大きな敵役がいて、それを倒す・打ち負かすことで物語としてのカタルシスを表現するというのは古今東西良く見られる物語構成の手法だと思いますが、敵役を設定せずに、それでいてしっかり課題解決の達成感を表していることこそ、この人気のもとになっているのかなと思いました。色々意見はあると思いますが、特にお仕事系など割とリアリティの高い物語では、所謂勧善懲悪スタイルで物事を解決するタイプの話はあまり好きではないので、この意見にはだいぶ「なるほど」と思わされました(ファンタジーとかならそんなに違和感はないんですけどね)。
完全に余談ですが、この点について考えているなかで、最近読んだJ・P・ホーガンという方のSF小説「星を継ぐもの」や、その続編の「ガニメデのやさしい巨人」をちょっと思い出しました。これらの小説では、高度に技術が発展した世界で、戦争がなくなり、人間の闘争本能を人類共通の課題に力を合わせて解決に向かう姿が描かれています。ある意味、善人しかいない話というのは理想主義なのかもしれませんが、割とそういう世界を求めている人が多いってのはあるのかなと。
進行として感じたこと
今回、初めて読書会の進行役をつとめさせていただきましたが、拙いながらも最低限の役割はこなせたかなと思います。もともと、本職は半分営業のような仕事ですし、読書会自体にも慣れていたので、人前で話すことについては特に抵抗や緊張はなかったです。
そうは言っても、もちろん反省点もあって、個人的にやっていて気になったのは以下の点です。
1. 間の作り方
進行をやっていると、どうしても沈黙が気まずく感じていまい、シーンとした空気になることを怖がって、こちらから次々と話題を展開してしまいました。これはこれでそこまで悪くはなかったと思いますが、あとでゆっくり考えてみると、そこまで焦る必要はなくて、もうちょっと意識的に間を作っても良かったかなとも感じます。
実際、ちょっと静かになったタイミングで参加者の方から新たな話題をぽつぽつと話してくれるということが何度かありました。考えてみれば、沈黙が気まずいのは進行役の人に限った話ではなく、自分が参加者の場合でも静かになったら新しい話題を出してみるというのは良くやるので、そういった参加者の自発的な気持ちを期待するのも一つの手だなと。
そうすることで、進行役の心理的な負担も減りますし、なによりも、企画サイドが全然予想もしていないような話題に流れるというおもしろさが出るのではないかと思います。そういった予想外の話ができることも読書会の醍醐味だと思っているので、進行役になったときも沈黙を怖がらず、敢えて間を作るということも意識したいと思います。まあ、この辺りは自分から意見を出してくれる人(出せる人)がどれくらいいるかにもよるので、その時の様子を見つつって感じですね。一人だけが強いパターンだと、それはそれで雰囲気が悪くなる気もしますし、その辺りの塩梅は経験値をつむしかないですね。
2. 意見を言う人のバランス
比較的皆さんがバランスよく話せるように話は振ったつもりですが、もうちょっと話す機会をこちらから用意したかったなーと思う方もいました。人数が12人とそれなりに多かったので仕方ない部分はあるとは思いますが、なかなかバランスよく話せるような形にするのは難しいですね。
とはいえ、そもそも自分から話すというよりは、人が話すのを聞いているだけでも楽しいという方もいるので、バランスよく話す機会を作ることが本当に正しいのかという議論も有るので、なかなか難しい。このあたりはもうちょっと回数重ねたり、コミュニティとして本音が話せるような関係性を作りながら継続的に考えていかなければならないことかなと思います。
3. 自分の意見
これはもう本当に仕方がないことですが、進行役をやっていると場を回すことに全神経を集中するので、自分の意見を言うタイミングではかなりまとまりのない話し方になってしまったなと。
ただ、既に色々書いたとおり、議論を聞いているだけでも楽しめますし、進行役があまりまとまりのない意見を言うことで全体のハードルを下げられるという意味合いもあると思うので、そんなに深刻に考えてはいません(後者は完全に負け惜しみですが。。。)
この辺は慣れの問題でもあるので、ある程度場数をこなしていけばできるようになるかとも思うので、ゆるく考えればいいかなと。参加者として参加するときに比べて、全体に目を配る分、普段見えていないものが見えてきたりして、このポジションならではの楽しみ方もあるとわかったので、むしろそっちの方向で楽しむというのも一つの手ですね。
読書会後
読書会後は、主催者の方含めて残っていた何人かでちょっと神保町近辺をぶらぶらしていました。一緒に食事させていただいたり、本屋にいって話題になっている本とか読書会で紹介されていた本、次回以降の課題本どうするかなんてことを話しながら陳列されている本を眺めたりして、楽しく有意義な時間が過ごせました。
読書会に比べてもさらにカジュアルな雰囲気で参加者の方とお話できたので、こういうつながりができるという意味でも、なかなか良い機会だったなと思いました。
まとめ
もうちょっとコンパクトに書くつもりが、想像以上の長さになってしまいました(笑)。まあ、それだけ楽しい時間がすごせたと思えばいいでしょう。
読書会自体は頻繁にでているものの、今回は主催者サイドを経験できたという意味でも大変有意義な読書会体験だったと思います。できれば次回もレポートは書きたいとは思っています。
次回は9/16の開催で、課題図書はミヒャエル・エンデの「モモ」です。既に課題図書は読みましたが、いろんな意味で読書会の課題本にはうってつけの本だと思ったので、今からどんな会になるのか楽しみです!
それでは、また!